第6号2025年7月発行



「ふくの国 山口」第6号の表紙を飾るのは、山口県萩市出身のアニメソング歌手・きただにひろしさん。
テレビアニメ『ONE PIECE』の初代主題歌「ウィーアー!」で一躍有名となり、今や世界中で愛されるきただにさんに、ふるさとの思い出や山口の魅力、これからの夢などをお聞きしました。
山口で歌に出会い、歌に惚れ込み、
夢がかなうと信じたから今がある
山口は歌うことの喜びを知り、
僕の夢がはじまった場所
—— きただにさんのふるさと、萩市・須佐(すさ)地域はどんなところですか?
海も山も広がる自然いっぱいの、萩市の中でも特にのどかな場所です。子どもの頃はほぼ毎日海に出かけ、潜ったり、魚を釣ったりして遊んでいました。持ち帰った魚を母が夕飯のおかずにしてくれるのですが、煮付けでもフライでも、母の料理はなんでも絶品でしたね。僕が須佐に住んでいたのは高校1年生までなので、もう40年くらい前になりますが、今も美しい自然はあの頃のまま変わりません。空気も水もきれいで、帰るたびに「やっぱり須佐はいいな」と実感しています。
—— きただにさんにとって山口とはどんな存在でしょう?
僕を生み、育ててくれたかけがえのない場所、僕が歌うことの喜びを知り、歌に熱中させてくれた大切な場所です。中学生の時、全校生徒の前でギターの弾き語りをしたら、ものすごい歓声に包まれて、そこで初めて「歌ってこんなに人を喜ばせることができるんだ」と思ったんです。それがきっかけで歌にのめり込み、「歌で生きていくんだ!」と16歳で上京しました。もしモノがあふれる都会で育ったら、こんなに歌だけに没頭することはなかったと思います。ある意味、のどかな須佐で育ったからこそ、今の僕がいるんです。もちろん、上京する時も、上京してからもいろんな壁がたくさんありました。でも僕は歌をやめようと思ったことは一度もなくて、一つ一つ乗り越えようと前に進んできました。自分が体感したからこそ言えるんですが、「チャンス」はあるって信じてます。もし今夢を追っている人がいるなら、諦めず、努力し続けてほしい。そうすれば、きっと夢がかなう時が来るはずです。
—— 山口県でお気に入りの場所はありますか?
帰ったら必ず足を運ぶのは、「須佐ホルンフェルス」です。日本海に面して立つ絶壁で、しま模様の地層が日本海の荒波を受ける姿は圧巻です。須佐の誇れる場所であり、まちのシンボルですから、今も同級生の間では、立ち寄ったら毎回写真を撮って「行ってきたよ!」と報告し合うのがお決まりになっています。須佐以外だったら、長門市の「元乃隅(もとのすみ)神社」です。日本海をバックに赤色の鳥居がずらっと並ぶ様子は絶景です。高台に立つ大鳥居の上にあるさい銭箱におさい銭を投げ入れることができたら願いがかなうと教えてもらい、もちろんチャレンジしましたよ。なんと2回目で入れることができ、観光客の皆さんから拍手をもらったのがいい思い出になっています。

懐かしそうに故郷・山口について語るきただにさん。今でも同級生たちと交流があるそうで、みんなで集まるといつの間にか山口弁になっているのだとか。
僕を輝かせてくれたアニメソング業界と
山口に恩返しをし続けたい
—— 山口県のおすすめの食材や好きな料理を教えてください。
おすすめは平べったい体をした「平太郎(へいたろう)」という魚です。干物を軽く炙って食べると、山口のお酒のおつまみにぴったりなんです。でも、山口のものはなんでもおいしくて、どこにも負けない食材がいっぱい存在する県だと僕は思っています。もちろん、地酒も。一流の食材を扱う東京の名店でも、萩市特産の見蘭牛(けんらんぎゅう)が出てきましたし、甘鯛(あまだい)、ケンサキイカもよく見かけますから。それと、県の食材を紹介する、「ぶちうま! アンバサダー」を務めさせていただいているくらい僕自身も料理が好きで、山口の郷土料理の「けんちょう」はよく作っています。大根、にんじん、豆腐を甘辛く煮たほっこりとしたおいしさで、お酒にもよく合うんです。先日は給食メニューから誕生した、山口でおなじみの「チキンチキンごぼう」も作りましたよ。ゴボウと鶏肉に甘辛いタレが絡み、やみつきになるおいしさです。
—— これからの目標を教えてください。
一つ目の目標は、アニメソング業界への恩返しです。アニメ『ONE PIECE』の初代主題歌「ウィーアー!」は、僕の声を全国の方々、世界の方々に届けてくれました。僕を輝かせてくれたアニメソング業界のためなら、なんでも頑張りたいと思っています。『ONE PIECE』はものすごく思い入れのある作品なので、いつか来るであろう最終章でも主題歌を歌うのが夢です。もう一つの目標は、地元山口へ恩返しをし続けていくことです。その恩返しの一つが須佐湾大花火大会で、もう10年以上ゲストとしてステージに立たせていただいているのですが、日頃は静かな須佐に1万人近い人が来てくださいます。今後も、もっともっと山口に足を運んで、盛り上げていきたいと思っています。
—— これから山口県を訪れる方にメッセージをお願いします。
山口県は美しい景色、豊かな自然、おいしい食べ物、温かい人たち…と、魅力が満載です。時間の流れがゆったりと感じられるので、旅行したり、癒やされたりするにはぴったりの場所ですよ。それと、僕は歴史好きな方にもぜひ山口県をおすすめしたいです。特に幕末あたりの歴史に興味がある方は、あちこち巡ったらすごく楽しいと思います。もし萩市に足を運ばれるなら、僕の作った曲「萩の名物を教えちゃろう!」で、まずは萩グルメを予習することをおすすめします(笑)。コロナ禍の間、僕が勝手に作って萩市にお贈りした曲ですが、僕の知る萩の名物を詰め込んだ一曲です。ぜひ山口のおいしいものをいっぱい味わってください!

山口県PR本部長「ちょるる」(右手)と山口県観光キャッチフレーズ「おいでませ ふくの国、山口」のシンボルマーク「ふくだるま」(左手)のぬいぐるみを手に記念撮影!

毎年7月の終わりに須佐湾で開催される「須佐湾大花火大会」。きただにさんらによるアニソンライブも行われている。

萩市ではお酒のおつまみとして定番の「平太郎(標準和名:オキヒイラギ)」。きただにさんの楽曲「萩の名物を教えちゃろう!」にも登場。

豆腐と大根、にんじんを煮たシンプルな料理で、山口県の郷土料理として親しまれている「けんちょう」。地域や家庭によっては里芋や鶏肉などの具材を入れることも。
【きただにひろしさんの好きな場所】

須佐ホルンフェルス(萩市)
北長門海岸国定公園の海岸沿いにそびえる「須佐ホルンフェルス」は、約1500万年前のマグマの熱の影響を受けて誕生。高さ約12メートルの灰白色と黒色の地層が美しいしま模様を成している。遊歩道を降りて、真下から岩を見上げてみたり、岩肌に触れて自然の雄大さを感じることもできる。

きただにひろし
1968年8月24日生まれ。山口県萩市(旧須佐町)出身。高校1年生の時に歌手を目指して上京。1994年、3人組ロックユニット「Stagger(スタッガー)」のヴォーカル&ギターとしてメジャーデビュー。いくつかのバンド、ユニットを経て、1999年、テレビアニメ『ONE PIECE』の主題歌「ウィーアー!」でアニソンシンガー“きただにひろし”としての地位を確立。2002年にスーパーアニソンユニット「JAM Project」に第2期メンバーとして参加。日本のみならず、世界各国のアニソンイベントに参加するなど、日本のアニソン文化を世界へ広めるため精力的に活動。2024年にデビュー30周年を迎えた。
夏の絶景に癒される、心地よい大人の山口旅

本州の西端、山口県北西部。太古からの地球の胎動によって生まれた自然の造形や、透き通る海に人の営みが美しく重なり形作られた名所を多く有するエリア。
切り取られる全てが「絶景」と成り得る風景は、「夏」にさらに輝きます。
この地ならではの絶景に癒やされ、心ほどける、夏の旅へ。


光にきらめく海、吹き抜ける潮風、石造りの灯台——。
日常を少し抜け出して、記憶に残る下関へ。

コバルトブルーに輝く海上をドライブ
本土と角島をつなぐ「角島大橋」は、全長1780m。車窓いっぱいに広がるキラキラした海景色に、思わず深呼吸したくなる、そんなひとときが待っています。


関門海峡に歴史の舞台が重なる
源平合戦決戦の地となった壇ノ浦に面した公園で、関門海峡を間近に望むことができる人気スポットです。夜にはライトアップされた関門橋を楽しめます。


海底を歩いて本州から九州へ
本州と九州を結ぶ、世界的にも珍しい歩行者用海底トンネルです。全長780m、最深部で海面下58m、途中に示された福岡県との県境はフォトスポットとして人気です。


空に映える石造りの洋式灯台
水平線を一望する園内には高さ約30mの美しい角島灯台がそびえます。明治9年に初点灯し、今なお現役で活躍中。らせん階段を上ると、絶景のパノラマが広がります。


瓦そば
熱した瓦に茶そばや牛肉、錦糸玉子が彩りよく盛られた、川棚温泉発祥で山口県民のソウルフード。見た目も味も抜群。

唐戸市場

卸売市場でありながら、一般の方もふく刺しなど新鮮な魚介を購入できます。曜日限定の寿司などの販売イベント「活きいき馬関街」も大人気です。
※商品の種類や値段は季節によって変更があります。

下関市 市場流通課 瀬浦裕平さん

太古からの地球の息吹を体感。
雄大なスケールで描かれる夏の光景。

日本最大級の雄大なカルスト台地
約3億5000万年前のサンゴ礁が起源。点々と緑の中に突き出ている石灰岩は、まるで羊の群れのよう。トレッキングコースを歩いて、風を感じながら自然の神秘を体感してみては。


涼みながら大鍾乳洞を探検
国内屈指の大鍾乳洞。約1kmの観光コースでは「百枚皿」「黄金柱」など自然の造形美の数々を目にすることができます。洞内は通年17℃。夏は涼みながら快適に観光できます。


澄んだ名水がフォトジェニックなスポット
「日本名水百選」にも選ばれた青く澄んだ湧き水が美しい池。パワースポットとしても注目されています。また、隣接する湧き水を利用した釣り堀で、ニジマス釣りも楽しむことができます。


美東ごぼううどん
カルスト台地の土壌で育つ「美東ごぼう」をたっぷり練り込んだ麺に、素揚げをトッピング。ごぼうづくしの風味豊かな絶品うどんです。

未公開エリアのケイビング(秋芳洞)

観光ルートでは味わえない暗闇の地底は、まさに未知の世界。言葉にできないほどの感動があります。ガイドによる案内があるので初心者でも安心です。

ケイビングガイド 定野愛美さん

美しい日本海の風景が広がる長門で、自然の雄大さと、童謡詩人が紡ぐ言の葉を感じる。

赤い鳥居の列が海に映える絶景神社
水平線を背景に、日本海に向かって123基の鳥居が連なる光景は圧巻。赤い鳥居、青い海、緑の大地のコントラストが美しい、世界も注目する絶景スポットです。
※参拝休止期間については、長門市観光サイト「ななび」をご参照ください。


日本海の荒波が作る「海上アルプス」
独特な断がい絶壁や洞門、石柱、岩礁が織り成す絶景が特徴の、北長門海岸国定公園の代表的な景勝地。遊覧船に乗って、壮大な景色を海上から楽しむこともできます。


「仙崎みすゞ通り」で詩の世界を巡る
童謡詩人「金子みすゞ」の生誕地にちなんで名付けられた「仙崎みすゞ通り」には、実家を再現した記念館や、詩を表現したモザイク画、詩札などがあります。


海岸線や水平線を望む大パノラマ
標高333mの高台に草原が広がる、海風が心地よい絶景スポットです。キャンプ場や遊歩道も整備されており、レジャーでの利用もおすすめ。


やきとり
養鶏業が盛んな長門は、「やきとりのまち」としても知られます。長門では、長ネギではなく玉ネギを挟むのが定番。

長門おもちゃ美術館(道の駅センザキッチン併設)

森と海と人をテーマに、木のおもちゃを多数そろえるミュージアムです。2歳までの赤ちゃん専用ルームもあり、親子で安心して楽しめます。

長門おもちゃ美術館 館長 小林健司さん

瀬戸内の穏やかな海に面する、緑と花と彫刻のまち。

広大な砂州に生まれる水鏡
遠浅の海に広がる砂州は干潮時に潮だまりが出現。無風時には「ウユニ塩湖」さながら、くっきりと空を映す鏡のような水面となり、リフレクション写真の撮影を楽しめます。


湖畔に広がる四季折々の景色
常盤湖を中心に広大な敷地が広がる総合公園。野外彫刻をはじめ、遊園地や動物園、植物館などを有し、大人から子どもまで楽しめます。


山口茶の産地にある隠れた絶景
涼やかな緑のお茶の葉が一帯に整然と広がる光景は圧巻。丘の上には茶畑全体を見渡せる展望デッキがあり、撮影スポットとしても人気。


宇部ラーメン
濃厚豚骨スープ、強い豚骨の匂い、やわ麺という三つの特徴を持つ、地元で「くさうま」と親しまれるラーメン。ヤミツキ必至!


瀬戸内海に沈む夕日に、夜を灯す工場夜景。時の移ろいが見せる絶景に心打たれる。

干潮時のみ近づくことができる神秘の奇岩
本山岬の海岸から岩まで近づくことができるのは干潮時のみ。長い歳月をかけて形成された姿は壮観かつ神秘的です。夕暮れ時が重なればさらなる絶景に出会えます。


夕焼けに染まる海辺を歩く
「日本の夕陽百選」に選ばれている海岸で、瀬戸内海に沈む美しい夕陽を眺めることができます。マリンスポーツや海水浴も人気です。


美しい夜景を見ながら夕涼み
標高135.69m、山頂付近まで車で行くことが可能。360度見渡せる展望台からの眺望は「日本夜景遺産」に認定。市街地や工場の灯りが眼下に。


きららガラス未来館
ギャラリーではガラス作家による多彩な作品が並ぶ他、「トンボ玉」「ジェルキャンドル」など、ガラス作品の製作体験も可能。


山口デスティネーションキャンペーン
国内最大級の観光キャンペーンが今年の秋から始まります!
おいでませ「ふくの国、山口」へ


山口県内のアウトドア等体験コンテンツの体験利用料を割り引く
期間限定のキャンペーンを実施しています!

※予算上限に達し次第、終了します

東京日本橋にある山口県のアンテナショップ「おいでませ山口館」は、情報ターミナルとして、伝統の逸品から、観光情報まで山口県の今を発信しています。
住所:東京都中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル1階
営業時間:10:30~19:00 TEL:03-3231-1863
ECサイト「おんらいんやまぐち館」もオープンしました。ぜひご利用ください!
やまぐち食彩
自然豊かな山口県は多彩な海の幸、山の幸に恵まれ、
全国有数と評される「食の宝庫」です。
こうした魅力あふれる「食」について紹介します。

山口県の地酒
海・川・山・里の幸が豊富で、古くから美食の文化が栄えてきた山口県。お酒も、さまざまな料理と楽しめるよう、米本来のおいしさや個性を追求する酒造りが行われており、蔵ごとに味の異なるこだわりの日本酒が楽しめる。

萩産の酒米とまろやかな阿武川の伏流水、
蔵人たちの情熱をもって醸す
飲み手に寄り添い、食事に寄り添う酒
山口県萩市の田町商店街にある酒蔵「岩崎酒造」。1901(明治34)年に創業以来、120年以上にわたり「長陽福娘」を醸し続け、飲み手と食事に寄り添う酒を届けています。
現在、岩崎酒造の代表を務めるのは5代目で蔵元杜氏の岩﨑喜一郎さん。東京の大学を卒業後、国税庁醸造試験所に入り、そこで見た全国新酒鑑評会の結果発表の日の光景が、岩﨑さんの酒造りに大きな影響を与えたといいます。「子どもの頃から酒造りに親しんできましたが、結果を確かめるために朝早くから押しかける杜氏や蔵人のまなざしの強さに圧倒され、こんなにも人を真剣にさせるのかと驚きました。いつの間にか私にも、岩崎酒造の"職人気質"と"暖簾"を大事にしたい、守り続けたいという気持ちが芽生えていました」。
岩﨑さんは自らが杜氏となり、岩崎酒造が創業当時から大切にしてきた山田錦を中心とする地元萩産の酒米、蔵の敷地内に湧き出る阿武川の伏流水、蔵元杜氏をはじめとする蔵人たちの情熱をもって、長陽福娘の味を守り続けています。「合言葉は"和醸良酒"。和やかなコミュニケーションと向上心を大切に、酒造りに励んでいます。また、麹菌や酵母の力を最大限に引き出すため、データを活用して徹底管理しながら、長陽福娘の自らを主張しない体に染み込むような優しい味わい、滑らかな飲み心地にさらに磨きをかけるべく、理想の味や品質を追い求めています」。
岩﨑さんが勧める長陽福娘の楽しみ方は、食事と一緒に味わうこと。「特に萩市近海の白身魚との相性は間違いなしです」と岩﨑さん。ちなみに、岩﨑さん自身は萩市の真鯛や真ふぐと合わせて味わうのがお気に入りだとか。
2022年に山口県酒造組合の会長に就任した岩﨑さん。組合の会長として、山口県の地酒全体の発展のためにも日々奔走しています。「山口の地酒の魅力は、一括りにできない、金子みすゞさんの詩にもあるような"みんなちがって、みんないい"ところ。それぞれの酒蔵がそれぞれのおいしさを追求し、切磋琢磨しているからこそ、個性的で上質な酒が生まれているんです。これからもぜひ山口の酒に注目してほしい」と語る岩﨑さん。その表情には酒造りへの強い思いがあふれていました。



岩崎酒造株式会社
代表取締役社長 岩﨑 喜一郎(いわさき きいちろう)さん
山口県萩市生まれ。東京の大学を卒業後、国税庁醸造試験所、酒問屋を経て、実家の岩崎酒造へ。2010年に社長に就任、翌年より蔵元杜氏となる。2022年からは山口県酒造組合会長に就任。「萩酒米みがき協同組合」の副理事長も務める。
下関豊田の豊水
「下関豊田の豊水(ほうすい)」は、2015年8月にやまぐちブランドに登録された、山口県下関市豊田町産の梨。豊田梨共同出荷組合の徹底した栽培管理の下で育てられており、果汁が豊富で、程よい酸味が感じられるバランスの良い食味が魅力の豊水の中でも、大きさや糖度12度以上といった厳しい基準をクリアしたもののみが名乗ることができる。

豊田町の豊かな自然が育む山口の名産
厳しい基準をクリアした特別な豊水
山口県の西部、美しい山々に囲まれ、ホタル舟の発祥の地としても知られる下関市豊田町。山口県有数の梨の名産地です。そんな自然豊かな豊田町で、山口県のブランド梨「下関豊田の豊水」は生産されています。
「豊田町の梨栽培は、昭和初期にわずか数人で始まりました。ミネラル豊富な赤土の土壌や、盆地特有の昼と夜の寒暖差が栽培に適していたこともあり、地域に大きく広がっていきました」と話すのは、豊田梨共同出荷組合の組合長を務める山野重慈さん。
山野さんは、「豊水特有のみずみずしさ、甘みの中にも酸味が感じられるバランスの良い食味、シャリッとした心地よい食感は大前提で、その上で果実の品質や大きさなど厳しい基準をクリアし、さらに糖度12度以上が見込まれるものだけが『下関豊田の豊水』を名乗れるんです」と教えてくれました。豊田梨共同出荷組合では、ブランド梨として自信を持って届けるために、栽培管理の徹底はもちろん、選果場では非破壊糖度センサーを用いて全量検査を行うなど、品質の維持・向上に力を尽くしているそうです。
組合長として忙しい日々を送る山野さんは、梨やブドウを育てる山野農園の代表も務めます。20歳の頃から実家の農園を手伝い始め、梨栽培歴は45年超え。その間、高齢化と後継者不在により一軒、また一軒と梨農家が減っていく様子を目の当たりにしてきたといいます。「豊田町の豊水は北九州市場で日本一の単価がついたこともある優れた梨。次代につなぐこと、絶やさないよう守り続けることが組合の課題です」。組合では、子どもたちに豊田町の梨に親しんでもらおうと、市内の小学校で出前授業をしたり、農園で袋かけや収穫の体験を実施したりと、さまざまな取り組みを行なっています。
「下関豊田の豊水の食べ頃は8月下旬から9月上旬。人気のある梨のため、確実に味わうなら直売所への早めの予約をおすすめします。いくつかの農園では梨狩りも開かれるので、そちらでもぎたての梨を味わうのも楽しいですよ」と山野さん。
まもなく旬を迎える「下関豊田の豊水」。旬の時期ならではの味わいを、ぜひ一度ご堪能ください。



豊田梨共同出荷組合 組合長 山野 重慈(やまの しげやす)さん
山口県下関市豊田町で、梨の共同出荷や直売所の運営などを行う豊田梨共同出荷組合の組合長として、地域の梨農家のまとめ役を務める。梨の品質の維持・向上、後継者の受け入れ・育成など、下関市豊田町の梨を次代につなぐため、組合員と共に日々奮闘中。
やまぐち暮らし
本州の西端に位置する山口県は、東京まで飛行機を利用すれば約1時間30分。
生活に必要なものは身近なところでひと通りそろう、心地よく、不便なく暮らせる「暮らしやすいまち」です。
さらに、さまざまな制度が充実し、移住するにも、働くにも最適。
ここでは、山口県で充実の日々を過ごしている方や、
魅力あふれる企業をご紹介します。

山口県だから安心して就漁できた!
移住の決め手は充実した漁業研修制度
加藤さん夫妻の移住の理由は、涼太さんの長年の夢をかなえるためでした。
涼太さん「子どもの頃から釣りが大好きで、漁師に憧れていました。ある時、偶然インターネットで、3日後に山口県で漁業就業支援フェアが開催されることを知り、すぐに参加を決めました。このフェアは、新規就漁希望者とその受け入れを希望する漁業者のマッチングイベントで、自分でも驚くくらい、そこで話がどんどん進んで研修先が決まりました」
涼太さんは山口市にある山口県漁業協同組合の大海支店で、移住前に短期漁業研修を受けることに。研修は漁協との相性や船酔いの程度などを事前に知り、アンマッチを防ぐ目的もあります。菜々子さんは漁協の皆さんにスーパーや銀行など、生活に必要な施設を案内してもらったそう。
涼太さん「実際に船に乗って漁を体験すると、大量の魚に初めての魚種…と、ワクワクがいっぱいで、漁師になりたい気持ちはより強くなりました。それと移住を決めるにあたって、魚が獲れる、獲れないだけでなく、周りの皆さんが温かく親切で、ここなら長く続けられそうだと感じました」
菜々子さん「山口県に来てまず驚いたのは、空気がすごくきれいなこと。穏やかで安心できる雰囲気は実家があるまちに似ていて、暮らしやすそうだなと感じました」
短期研修を終え、お二人は山口市で本格的に新生活をスタート。涼太さんはすぐに長期漁業研修が始まり、菜々子さんは漁協の直売所でアルバイトを始めました。
涼太さん「長期漁業研修の魅力は、先輩漁師から一対一で学べるところ。私は小型底びき網漁業とはえ縄漁業を教わりました。しかも研修生の間も賃金が支払われるので、経済的な不安がなく2年間の研修に挑めます。当初、早朝や深夜に海に出る漁師の生活スタイルに苦戦しましたが、1年経つ頃にはすっかり慣れました」
菜々子さん「移住して間もなく子どもを授かったので、私も初体験の連続に。不安もある中、漁協や直売所のお母さんたちが話を聞いてくれたり、食事に誘ってくれたりと親身になって支えてくれて、山口の人の温かさを実感しました」
涼太さんは研修後に独立し、現在は小型底びき網漁業を操業しています。
涼太さん「山口県では、新規で漁業就業すると3年間給付金を受給でき、船の購入にも補助があるので安心して独立できます。私も制度を活用して船を購入し、夏はハモ、秋冬はマダイやヒラメを獲っています」
菜々子さん「今は港により近い防府市に引っ越し、子どもが幼稚園に入ったことで交流関係も広がり、毎日がさらに充実しています。スーパーや病院など生活に必要な施設も揃っているので不便はありません」
今後の目標をお聞きしました。
涼太さん「山口県は漁師を目指す方への支援制度が充実しており、移住就漁におすすめです。私も2年目以降は経営的に安定し、今後はごち網漁業といった他の漁法などにも挑戦する予定です。いずれは研修生を受け入れて若い漁師を育て、山口県の漁業の未来を切り拓きたいです」
充実の山口暮らしとこれからの夢について語る加藤さん夫婦の表情は生き生きと輝いていました。



加藤 涼太(かとう りょうた)・菜々子(ななこ)さん

共に兵庫県出身。涼太さんの「漁師になる」という夢をかなえるために山口県へ移住。涼太さんは2年間の漁業研修を終え独立し、現在は一年を通じて底びき網漁業を操業。ハモ共同出荷協議会にも参加するなど、漁協の仲間と魚価の向上にも取り組む。移住後、第一子を授かり、夫婦で子育てにも奮闘中。

株式会社アデリー
- 住所:山口県柳井市柳井11171番地1
- TEL:0820-23-7711
ギフト商品の企画・開発・物流まで一貫して手がけるギフトの総合プロデュース会社。従業員は約380人。仕事を遊ぶように楽しめ、社員が輝いて働けることを誇りとした、「人が真ん中」の会社づくりを行う。
ずっと変わらない「人が真ん中」の思い
目指すのは社員が輝いて働ける会社
山口県柳井市にある「アデリー」は、魅力的な商品や多様な事業展開だけでなく、働きやすい職場としても注目されています。「会社の最大の資源は"人"と考え、企業理念の中にも大家族主義を掲げるほど、社員が輝いて働けることを重視しています」と話すのは、人事室責任者の柴田勇樹さん。
アデリーは、2024年度に山口県の「誰もが活躍できるやまぐちの企業」に認定され、「やまぐち働き方改革推進優良企業表彰」で優秀賞を受賞。「受賞の際に高く評価された取り組みの一つはメンター制度です。入社2年以内の社員に対し、年齢や社歴の近い先輩社員をメンターとして設定し、一対一で定期的に面談を行っています。業務のことだけでなく、会社生活やプライベートのことも話しやすいよう、他部署の先輩をメンターとしていることがポイントです。相談できる相手の存在は、安心感につながっていると思います」と柴田さん。アデリーの社員はUIターン者も多く、メンター制度は社員定着率の向上にも貢献しているのだとか。
「社員の"いいね!"と思った行動をカードに書き込んでポストに投稿する"いいね!カード"という制度も高く評価されました。実際に周りの社員の良い行動を積極的に見つけるようになり、職場の雰囲気の向上につながっていると感じます。カードをもらう側はもちろん、カードをあげて喜んでもらえるのも嬉しいものです。もう一つは部署自らが目標を設定し、チームで課題解決に取り組む"TAP制度"です。できるだけ若手をリーダーとすることで、リーダーの育成にもつなげています。設定した目標や成果は、半年に一回の経営方針発表会で発表するのですが、仕事を遊ぶように楽しめることを大切にしているアデリーらしく、真面目すぎない、にぎやかな発表になるようにしています」。
その他にもさまざまな取り組みを行い、働きやすい環境づくりに尽力しているアデリー。女性の活躍推進に関する取り組みが優良である企業を認定する国の制度、「えるぼし」にも認定されています。「山口は自然豊かで住みやすいだけでなく、働きやすい地域でもあると思います」と笑顔で話す柴田さん。魅力あふれる企業いっぱいの山口県であなたも働いてみませんか。
Features
味わい方いろいろ
ホシフルーツの「彩果しずく」

「いいね!カード」で温かな職場づくり

先輩に気軽に相談できる「メンター制度」


コーポレート本部 管理部 責任者兼
人事Gr 人事室 責任者 シニアマネージャー
柴田 勇樹(しばた ゆうき)さん
アデリーの企業理念、コンセプトに惹かれ、3年前にキャリア採用で入社。「山口県で就職をお考えの方は、ぜひアデリーへ!」。


テルモ山口株式会社
- 住所:山口県山口市佐山3-22
- TEL:083-988-3210
世界160以上の国や地域で事業を展開する医療機器メーカー「テルモ」の西日本で初めての生産拠点として山口テクノパーク内で開設。「医療を通じて社会に貢献する」という企業理念の下、高品質な医療機器・医薬品を製造している。
山口県からグローバルでの医療需要に応える
災害リスクの低さや優遇制度が立地の決め手
テルモ山口は、100年の歴史を持つ医療機器メーカー「テルモ」のグループ会社です。「テルモ山口の開設は2011年。医療機器や医薬品の製造など、世界の医療現場のニーズに応える、グループの中核生産拠点として位置付けられています」と話すのは井原晋取締役管理部長。工場新設の地に山口県を選んだ理由をお尋ねしました。
「決め手は東日本大震災。テルモの製造拠点は東日本に集中しており、震災の影響で操業に苦慮する事態となりました。災害によって生産が停止した場合、国内外の医療も止めてしまうというリスクを実感し、生産拠点の多極化が必要と考えました。そうして西日本に新たな拠点を設けると決め、中でも、交通アクセスの良さや、津波・地震などの災害リスクの低さから、進出を決定。高校や大学、高等専門学校など産業人材を養成する教育機関が多くあり、優秀な人材がたくさん集まるだろうという期待もありました」。
工場新設にあたり、山口県の「企業立地促進補助金」や、山口市の「立地奨励金」、「雇用奨励金」など、さまざまな支援制度を活用。「山口県は行政による産業発展のための支援が手厚いため、事業を進めるうえでとても心強く、立地を決めた大きな理由になりました。現在も変わらず、山口県・山口市ともに産業の発展に対する強い熱意が感じられるので、新しい取り組みにも心置きなく挑戦できています。また、品質管理の厳格さなどから、当初は取引先の確保に苦慮することもありましたが、現在は山口県を中心としたサプライチェーンがしっかりと築けています」。
現在、地域に密着した活動にも力を入れているそう。「地域の小学校で科学の楽しさを伝える課外授業を行うなど、地域に根差した企業となるよう努力しています。テルモ山口だけでなく、医療機器をはじめ医療現場そのものや、製造業に興味を持ってくれる子どもや若者が一人でも増えてくれると幸せですね。雇用を増やすことで、人口定着にも貢献できたらと考えていますので、山口県から世界へ向けてチャレンジしたいという方は、ぜひお待ちしています」と井原さん。ここ山口県から世界の医療現場へ安心を届けるテルモ山口。山口県では、「立地するなら山口県」を合言葉に、企業の挑戦を全力でサポートしています。
Features
カテーテル治療を支える「ガイドワイヤー」

薬剤充填済み注射器「プレフィルドシリンジ」

多彩な地域活動を実施


テルモ山口株式会社 取締役 管理部長
井原 晋(いはら すすむ)さん
テルモグループの複数の拠点を経て、2年前にテルモ山口に着任。豊富な経験を生かし、「山口からグローバルでの医療貢献」を目指す。

山口県へのアクセス

つながる。やまぐち応援寄附金(ふるさと納税)
山口県では、次の4つのテーマで寄附を募集しています。
力強い応援をお願いします!
- □産業振興による雇用の創出
- □次代を担う人材の育成と新たな人の流れの創出・拡大
- □結婚、妊娠・出産、子育ての希望を叶える環境の整備
- □時代に対応した持続可能な地域社会の形成
なお、返礼品の提供を希望しない場合に選択できる使い道として、以下の3つの寄附を受け付けています!
- ○ふるさとの学校や後輩を応援(県立学校指定寄附)
- ○若者の県内定着促進に取り組む大学等を応援(県内大学等指定寄附)
令和7年4月に「県内大学等指定寄附」を新設! - ○やまぐちのパラアスリートを応援
山口県総務部税務課 TEL:083-933-2275
MAIL:furusato@pref.yamaguchi.lg.jp
やまぐち“とも×いく”ポータルサイト
山口県では、男女で育児・家事を分担し、仕事と家庭の両立が可能となる社会を目指して、「共育て(とも×いく)」の観点から働きやすい職場環境づくりに役立つ情報を提供するポータルサイトを開設しています。ぜひご覧ください!
山口県産業労働部労働政策課
TEL:083-933-3221
読者プレゼント

「きただにひろしさん直筆サイン色紙」3名様
「山口県下関市の豊田梨(3kg)」3名様
「山口県PR本部長『ちょるる』のぬいぐるみ」5名様
「山口デスティネーションキャンペーンシンボルマーク『DCふくだるま』のぬいぐるみ(ミニサイズ)」5名様
「山口県公式SNS」のいずれかをフォローの上、アンケートにお答えいただいた方の中から抽選で、上記の品をプレゼントします。アンケートフォームからお申し込みください。
【締め切り/令和7年8月29日(金)】
※当選者の発表は発送をもって代えさせていただきます。