山口県と一般社団法人山口県観光連盟は、2023年9月15日から新たな観光プロモーションを始動しました。
「おいでませ ふくの国、山口」の下、『絶景』『体験』『グルメ』をテーマとした様々な取組を進めてまいります。
山口県で今までにはない至福の体験をお楽しみください。
第2号の表紙を飾ったのは、プロバスケットボールチーム「横浜ビー・コルセアーズ」に所属し、活躍する河村勇輝選手。
山口県柳井市出身の河村選手に、自身の生い立ちを振り返っていただきながら、地元の思い出やバスケットボールとの出会いや思いなどを語っていただきました。
山口県の魅力はやっぱり自然が豊かなところですね。私が生まれ育った柳井市も、自然がいっぱいののどかな地域です。そんなすぐ近くに緑がある環境で育ったからか、私は自然が大好きで、リラックスしたい時にはついつい自然を求めてしまいます。高校から山口を離れ、現在は横浜が拠点となっていますが、年に1、2回は帰って、山口の自然を満喫することで心身ともに癒やされています。
子どもの頃はよくアデリーホシパークに行っていました。当時の名称は、柳井ウェルネスパークでしたけど。友だちと鬼ごっこをしたり、バスケットボールをしたり、ラントレーニングをしたりと、とにかく体を動かすのが楽しかったです。それと同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上に足を運んだのが、やまぐちフラワーランドです。家からすぐの場所にあるので、「特別な場所」というより「当たり前の場所」で、いつも気軽に行っていました。特に気に入っていたのはフラワーランドのシンボルでもある「花くるりん」です。人を乗せるのではなく、花を乗せて回る観覧車のようなもので、季節の花々を乗せた20個以上あるゴンドラがゆっくりと回る様子をよく眺めていました。青空の日には、特にきれいだったのを覚えています。私のように自然が好きな方、花が好きな方にはぜひ一度行ってもらいたいスポットです。
金魚ちょうちんは柳井市を代表する民芸品で、キョトンとした表情がかわいいです。柳井市の小学生たちは、みんな一度は金魚ちょうちん作りを体験するはず。もちろん私も体験しました。毎年8月に開催される「柳井金魚ちょうちん祭り」もよく行きました。柳井市は室町時代の町割りが今も残る「白壁の町並み」が名所として知られていますが、祭りの期間中、その軒先に金魚ちょうちんがずらりと吊るされる風景は圧巻です。夜は金魚ちょうちんに明かりがともり、辺り一帯が幻想的な雰囲気になります。柳井市の誰もが親しみ、誇りに思っている祭りです。
特に好きなスポットは、美祢市の秋吉台(あきよしだい)と秋芳洞(あきよしどう)です。秋吉台は草原がどこまでも続きそうな雄大な景色が圧巻です。その地下にあるのが秋芳洞で、日本屈指の鍾乳洞が広がっています。暗い洞窟の中に現れる鍾乳石はどれもダイナミックで、自然の神秘を感じます。それと、岩国市にある錦帯橋も、ぜひ実物を見てもらいたいです。穏やかな錦川に架かる美しい五連の橋にきっと感動すると思います。
瓦そばです。私も本当に大好きです(笑)。我が家は母がホットプレートで作ってくれます。おいしさはもちろんですが、家族5人で囲んで食べるのがいつも楽しくて、食卓に並ぶととてもうれしかったですね。あとは海鮮です。山口にはおいしい魚介がたくさんありますが、特に私がおすすめするのは下関市の唐戸市場(からといちば)のおすしです。高校時代、少しでも山口の魅力が伝わるといいなと思って、福岡の友達を案内したこともあります。山口を訪れた際には、唐戸市場の活気やにぎわいも体感してもらいたいです。
山口県は私にとってふるさとであり、一番大切にしたいまちです。これは間違いありませんし、今後も変わることはありません。家族や友達が待つまち、子ども時代をのびのびと過ごせたまち、バスケットボールに出会えたまち……本当にかけがえのない場所です。それに、スポーツ選手という職業柄、休息を取ることは私にとってものすごく大事なのですが、十分に体を休めるには自然豊かな山口県が最適だと思っています。また、恩返ししたいまちでもあります。これまで幾度となく山口の人の温かさに支えられてきました。皆さんには、もし山口県を訪れる機会があれば、地元の方と交流して山口の人の温かさも実感してもらいたいです。
今季、横浜ビー・コルセアーズではタイトル獲得を目標に掲げているのですが、その中でどれだけチームを引っ張れるかということが目前の目指すところです。そして、その先に今年、開催されるパリオリンピックがあり、さらにその先に海外でのプレーが目標として続いています。日本にとどまらず、海外でプレーすることによって世界のたくさんの方々にバスケットボールの魅力を伝えたいです。そして、私のような小柄な選手でも戦えるという希望や勇気にしてもらいたいですし、感動も届けていけたらいいなと思っています。少しずつかもしれませんが、着実にステップアップしていけるよう全力で頑張りますので、これからも応援をよろしくお願いします。
花と緑にあふれる庭園「やまぐちフラワーランド」。3万5000平方メートルの広大な園内には21のテーマ別花壇があり、年間約500品種45万本の草花が植栽され、四季折々の草花を楽しめます。隣接する花き振興センターでは、花き生産の最新技術などを見学できます。
「ふぐ」で有名な下関市の唐戸市場。週末や祝日などには、多くの屋台が出店し、多彩な魚料理が味わえる「活きいき馬関街」が開催されます。
2001年5月2日生まれ。山口県柳井市出身。横浜ビー・コルセアーズ所属のプロバスケットボール選手。ポジションはポイントガード。高校3年の時、特別指定選手として当時のB1リーグ史上最年少出場記録と最年少得点記録を更新。大学進学後、2020年に特別指定選手として現在のチームに入団。2022年3月に東海大学の中退と、同チームとの2022-23シーズンのプロ契約締結を発表。同年「FIBAアジアカップ2022」日本代表に選出。2023年6月に「B.LEAGUEAWARD SHOW 2022-23」でBリーグ史上初めて最優秀選手賞(MVP)と新人賞をW受賞。同年「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」日本代表に選出。
多彩な自然や歴史、文化が魅力的な山口県。
フリータレントの兼頭のぞみさんが県中部・東部をめぐり、美しい町並みやおいしいグルメ、楽しいアクティビティなどを紹介します。
山口県の中央部に位置する山口・防府エリアには、米有力紙に取り上げられたことで世界的な注目を集める国宝「瑠璃光寺五重塔」や、日本三大天神の一つ「防府天満宮」など、歴史上重要な史跡が点在しています。
守護大名大内氏25代当主・大内義弘の菩提を弔うために、1442年に建立されました。国宝に指定され、上層ほど細くなるすらりとした立ち姿と、檜皮葺(ひわだぶき)屋根の伸びやかなそり返しは美しく、日本三名塔の一つに数えられています。梅・桜、新緑、紅葉、雪など、四季を通じて自然に映える景観が見事で、夜間は22時までライトアップされています。
現在は約70年ぶりの檜皮葺屋根の全面葺き替え工事中(~2026年3月予定)。2024年3月末までには工事用シートの一部を透明パネルに取り替える予定です。
山口市の中心部に位置し、白狐が傷を癒やしていたことがきっかけで発見されたという「白狐伝説」が残る湯田温泉。アルカリ性単純温泉の肌に良くなじむ柔らかい湯が特徴的で、お肌をすべすべにする美肌の湯とも呼ばれています。温泉街には6か所の無料の足湯があり、散策がてら気軽に立ち寄れます。
904年創建とされ、菅原道真公を祀る日本で最初の天満宮を称しています。「学問の神」にあやかろうと多くの受験生が合格祈願に訪れるほか、2月「牛替神事」、8月「御誕辰祭」、11月「御神幸祭」など、年間の催事も目白押し。梅の名所としても県内屈指の美しさです。
1916年に公爵毛利家の本邸として建造。84,000平方メートルもの広大な庭園は国指定名勝で、紅葉の名所としても人気。建物は博物館として、雪舟(せっしゅう)筆の国宝「四季山水図」など毛利家伝来の2万点に及ぶ文化財を収蔵。定期的に開く展覧会で公開されます。
山口県の東南部に位置する周南エリアは、瀬戸内海国立公園に指定された優れた自然景観や、周南工業地帯の幻想的な工場夜景など、自然と産業が調和した魅力を感じられるスポットです。
オートキャンプ場、芝生広場や多彩な遊具を完備。四季の花々が美しく、特に梅の名所としては県内屈指。公園内の「梅の里(冠梅園)」には、約100種約2,000本の梅が植栽されています。ロウバイに始まり、赤、白、薄紅の花が1月中旬から3月初旬にかけて、園内を華やかに彩ります。
全国でも珍しい牛骨ベースの醤油ラーメン。牛のうまみがしっかりと溶け出したスープは独特の甘みがあり、香ばしさとのバランスが絶妙です。さっぱりとした口あたりで後味もスッキリ。下松では「いなり寿司」と一緒に味わうのが定番です。
本土から笠戸島へと伸びる笠戸大橋を渡って間もなくの場所にある、県内屈指の夕日の名所。海水の浸食などで岩場に穴が空いたパワースポット「はなぐり岩」を通る夕日の道筋は特に絶景。冬場は夕焼け空から海上がすべてあかね色に染まり、幻想的な景色が広がります。
瀬戸内海沿いに全国有数の広大な工場群が広がる周南コンビナート。夜になると全国13カ所の「工場夜景都市」の一つに数えられる、壮大で幻想的な工場夜景を観賞することができます。
107種552点(2023年12月末時点)の動物が飼育されており、園のシンボルは来園10年を迎えた2頭のスリランカゾウ。仲良くじゃれ合ったり、長い鼻を使って器用にエサを食べる様子を間近に見ることができます。また、北園「るんちゃ♪るんちゃ」では、ヤギが頭上の一本橋を渡ったり、ふれあいルームではモルモットにエサやり体験ができたりと、小さな子どもから大人まで楽しむことができます。
瀬戸内海を望む入り組んだ海岸線が特徴的な岩国・柳井エリア。
海岸線に沿って美しい景色が連続し、点在するビーチでは四季を通じてマリンスポーツが楽しめます。錦帯橋や岩国藩の旧城下町、海上交通の要衝として繁栄した柳井や上関など、歴史にまつわる魅力も満載です。岩国寿司やみかん鍋などの郷土料理、いちご狩りや総合公園など、幅広い世代が楽しめる魅力的なスポットが充実しています。
清流・錦川に架かる国指定の名勝で、日本を代表する木造橋。春は桜、夏は鵜飼いや花火の夜景、秋は紅葉、冬は雪化粧と、四季折々の色彩豊かな景観が楽しめます。350年の歴史を刻むアーチ部分の構造は精巧かつ独創的。修復と架け替えを重ねながら現代へと伝統的な技法が受け継がれています。
郷土料理百選にも選ばれた岩国寿司。江戸時代に岩国藩主吉川公に献上したという言い伝えから「殿様寿司」と呼ばれることもあります。特産品の「岩国れんこん」の酢漬けや錦糸卵、桜でんぶなど彩り鮮やかな具材を使い、3~5段に重ねて作られた華やかな押し寿司です。
まん丸な目におちょぼ口がチャームポイントの柳井市を代表する郷土民芸品です。幕末、柳井の商人が青森県弘前市で見た「金魚ねぷた」をヒントに生み出し、職人による改良が重ねられ、戦後に現在の姿になりました。白壁の町並み周辺で「金魚ちょうちん」の製作体験ができます。
江戸時代に廻船の寄港地となった柳井は商業都市として繁栄しました。当時の町割りがそのまま残る古市・金屋(ふるいち・かなや)地区には、江戸中期に建てられた数多くの土蔵造りの旧商家が現存。美しい白壁の家並みが続く一帯は、国の重要伝統的建造物群保存地域に選定されています。
「みかんの島」周防大島で生まれた名物料理。「体に優しい橘皮(きっぴ)が香る『鍋奉行御用達』の焼きみかん」、「爽やかな柑橘の香りを練りこんだ地魚のつみれ」、「薬味としてピリリと辛いみかん胡椒」、「お鍋の最後はふわふわメレンゲによる淡雪みかん雑炊」という四つの定義を満たした、温州みかんと瀬戸内産魚介がたっぷりのお鍋です。
豊かな自然に囲まれ、大型ローラーすべり台、観覧車、ミニSL、県内最大級のふわふわドームなどの大型遊戯施設のほか、テニスやキャンプなどのアウトドアも楽しめるファミリー遊園。また、430種4200株が植栽されたバラ園は県内最大級。初夏と秋の開花シーズンの美しさは圧巻です。
室津半島にそびえる大星山は標高438m。頂上には高さが約100mある風力発電用の風車が並びます。展望台からは、平生町の街並みや風車、大小無数の島々が点在する瀬戸内海、遠くは九州、四国までを望む360度の大パノラマが楽しめます。
県内でも日照時間が長く、冬も温かい田布施町はいちごの栽培に適しており、町内には3カ所のいちご狩りスポットがあります。12月から5月までのいちご狩りの時期には甘くておいしいいちごを求めて、県内外から多くの方が訪れます。
全国でも珍しい四階建ての漆喰塗擬洋風建築で、1879(明治12)年に建設された県内最古の擬洋風建築の一つです。上関が海上交通の要衝として繁栄した当時は迎賓施設又は宿泊施設として使用され、漆喰による「こて絵」やフランス製のステンドグラスなど和洋折衷の装飾が残っています。
山口県と一般社団法人山口県観光連盟は、2023年9月15日から新たな観光プロモーションを始動しました。
「おいでませ ふくの国、山口」の下、『絶景』『体験』『グルメ』をテーマとした様々な取組を進めてまいります。
山口県で今までにはない至福の体験をお楽しみください。
東京で山口県が楽しめるアンテナショップ『おいでませ山口館』
東京の日本橋には、山口県のアンテナショップ「おいでませ山口館」があります。外郎、日本酒、蒲鉾やふぐ加工品、瓦そばなど山口県の特産品を数多く取り揃えています。東京にいながら、まさに「ここはもう山口県」。スタッフ一同お待ちしていますので、ぜひ一度、お立ち寄りください。
住所:東京都中央区日本橋2-3-4 日本橋プラザビル1階
営業時間:10:30~19:00 TEL:03-3231-1863
自然豊かな山口県は多彩な海の幸、山の幸に恵まれ、
全国有数と評される「食の宝庫」です。
こうした魅力あふれる「食」について紹介します。
海・川・山・里の幸が豊富で、古くから美食の文化が栄えてきた山口県。お酒も、さまざまな料理と楽しめるよう、米本来のおいしさや個性を追求する酒造りが行われており、蔵ごとに味の異なるこだわりの日本酒が楽しめる。
「山口県の酒蔵は、仲がいいのが特徴。その中で、切磋琢磨しているからこそ、おいしい酒が生まれるんです」と話すのは、周南市の中心市街にある、1819(文政2年)年創業の老舗酒蔵「はつもみぢ」の十二代目蔵元・原田康宏さん。酒蔵同士仲がいいのは全国的にも珍しいと言います。「2004年に山口県青年醸友会ができたのが一つの分岐点。ほとんどが小さな酒蔵なので、生き残るには上質でおいしい酒を造ることが必要でした。そこで、若手蔵元や若手後継者が集まり、技術や原料について意見を交わし、それぞれ味と品質の向上を目指したんです。現在、山口の酒にはハズレがないと言ってもらえるのは、皆で努力した結果です」。
200年以上の歴史を持つ老舗の「はつもみぢ」ですが、実は1985年から約20年間、酒造りを休止していました。その間は酒販業に専念していた原田さんでしたが、周南市の素材を使い、周南市の酒蔵で醸す、正真正銘の周南市の酒を造りたいという思いが高まっていったといいます。そして2005年、原田さんは酒造りを再開し、定番商品「原田」を生み出しました。酒米は山口県産のみ(現在は内50%以上が周南市産)、仕込み水も周南市鹿野地区で汲み上げた湧水と、原田さんが理想とした、とことん地元にこだわった酒です。原田さんはその特徴を「フレッシュ&ジューシー」と表現します。四季醸造蔵で、酒はいつも新鮮。華やかな吟醸香とフルーティーな味わいで、特に若い世代に人気を博しています。
現在、「はつもみぢ」は原田さんから阿部美恵さんに杜氏が引き継がれ、新たな章を迎えています。「とにかく酒造りにまっすぐで、毎回一年生のつもりで挑んでくれています。もっともっとと追求する姿には安心感しかありません」と原田さん。阿部さんの酒は常に最高値を超えていくと称えます。
「原田」に加え、季節限定商品や新ブランド「て、咲く」、総合化学メーカーのトクヤマと共同開発したリキュール「水素晒(さらし)」など、多彩な酒を世に送り出す「はつもみぢ」。現状に甘んじることなく、より上質でおいしい酒を目指して歩み続けます。
「International Wine Challenge 2023」の「SAKE COMPETITION」においてシルバー賞を授賞した「原田 特別純米酒」。すっきりとしたのどごしながらコクとうまみが口いっぱいに広がる。(左) 原田さんのもとで「はつもみぢ」の酒造りを学び、2022年に杜氏を受け継いだ阿部美恵(あべ・みえ)さんは、山口県では4人目の女性杜氏。「若い世代や女性にもっと日本酒のおいしさを広めたい」と日々酒造りに向き合う(右)
株式会社はつもみぢ 代表取締役社長・十二代目蔵元原田 康宏(はらだ やすひろ)さん
山口県周南市生まれ。国内ウイスキーメーカー勤務を経て、実家の初紅葉酒造株式会社(現:株式会社はつもみぢ)を継ぐ。全国きき酒選手権大会準優勝の実力で、地元にこだわった酒造りに取り組む。
標準和名は「アカムツ」。喉が黒いことから「ノドグロ」と呼ばれる。主な漁場は青森県から長崎県までの日本海側。高級魚として広く知られており、下関漁港のノドグロは主に首都圏に出荷され、高い評価を得ている。
2014年、テニスの錦織圭(にしこり・けい)選手の会見を機に、一躍有名になったノドグロ。「白身のトロ」といわれるほど脂のりがよく、上品な味わいの高級魚です。標準和名は「アカムツ」といい、喉が黒いことからノドグロと呼ばれています。
ノドグロの名産地としてよく知られるのは島根県や石川県、新潟県などですが、実は日本一の漁獲量を誇るのは、なんと山口県です。「山口といえばフグの取扱量日本一やアンコウの水揚げ量日本一で知られていますが、実はノドグロの漁獲量も日本で一位。しかも、他地域で獲れるものと比べると、一段と脂のりがよく、別格のおいしさです。ただ『超』が付くほどの高級魚ですから、ほとんどが首都圏をはじめとする県外に出荷されます。そのため地元ではあまり知られていないのでしょう」と話すのは、山口県以東機船底曳網漁業協同組合の組合長を務める宮本洋平さん。山口県萩市見島(みしま)の沖合から、長崎県対馬周辺までの海域で漁をする沖合底曳網漁船を統括する漁業会社の専務取締役でもあります。「漁期は8月中旬から5月中旬まで。沖合底曳網漁は2隻1組で行い、漁港を出発したら5〜6日間は海の上。その間は2時間おきに網を揚げます。1回の航海で獲れるノドグロは数十キログラム。最盛期は1日で数百キログラム穫れることもありました」。年々減っているという漁獲量。ノドグロ自体が減っているのか、環境の変化により生息域が変わってしまったのか、その原因はいくつか考えられるそうです。「漁獲量の減少だけでなく、人手不足も深刻。若い漁師を一人でも多く増やすため、下関漁港では漁業支援アプリを導入するなど、水産業のデジタル化に取り組んでいます」。山口県の漁業の未来を切り開くため、宮本さんは日々奔走しています。
最後に、下関漁港産のノドグロのおいしい食べ方も教えてくれました。「鮮度が良ければ、皮目を軽くあぶって刺身にするのが一番。塩焼きもおすすめ。加工品なら絶対に干物。脂が多いので、煮付けは少し調味が難しいかもしれません」。山口県の格別のノドグロをぜひ一度味わってみてください。
「山口県産 のどぐろ開き」は、主に下関漁港で水揚げされた大型のノドグロを厳選し、加工後すぐに急速冷凍し、味や品質を保持したまま出荷されています。焼くと上質な脂が滴り、身はふっくらとやわらかく、かむと甘い脂が口の中に広がります。(左) 2021年5月、安心安全な水産物を安定的に供給するため、高度衛生管理型荷さばき所を持つ市場として生まれ変わった下関漁港地方卸売市場。「優良衛生品質管理市場・漁港」として認定されている。(右)
山口県以東機船底曳網漁業協同組合 代表理事組合長宮本 洋平(みやもと ようへい)さん
愛媛県出身。有限会社昭和水産、有限会社佐賀水産の専務取締役。魚価の低迷や後継者不足、年々減少する水揚げ量に危機を感じ、水産大学校・松本浩文(まつもと・ひろふみ)准教授とともに漁業支援アプリを開発するなど、漁師の働き方改革に挑む。
本州の西端に位置する山口県は、東京まで飛行機を利用すれば約1時間30分。
生活に必要なものは身近なところでひと通りそろう、心地よく、不便なく暮らせる「暮らしやすいまち」です。
さらに、さまざまな制度が充実し、起業するにも、子育てするにも最適。
ここからは、自ら「やまぐち暮らし」を選び起業の夢をかなえたり、憧れの仕事をしたり、
のびのびとした子育てをしたりと、充実の日々を実現している方をご紹介します。
新しく何かを始めたり、
起業やまちおこしに挑戦するなら
無限の可能性がある山口県へ!
兵庫県出身の八代谷寿子さんは、20代の頃、旅行で訪れた山口県下関市の角島(つのしま)にひと目ぼれ。海の美しさとのどかな雰囲気に魅了されて年に何度か足を運ぶうち、山口県への移住を決意しました。
「移住したのは2016年で、場所は宇部市の吉部(きべ)地区です。角島で暮らしてみたい気持ちも大きかったのですが、宇部市が募集していた『地域おこし協力隊』の『地元の生産物などを活用したまちおこし』という任務に大きな魅力を感じ、挑戦してみることにしました」
実家が飲食店を経営しており、食にも興味があった八代谷さんは、協力隊として3年間活動し、特産品のPRや販路拡大、地域の活性化や関係人口の創出に尽力。中でも、吉部米の魅力を伝えるため、移住者交流を図るためにと実施したイベント「かまどごはんを食べよう!」は大盛況だったと言います。
「初めて吉部米を食べた時、あまりのおいしさに衝撃を受けました。参加された皆さんも笑顔いっぱいで、吉部米は地域資源だと確信しました。この味をたくさんの人に伝えるために、協力隊を卒業した後も宇部に残ることにしたんです。その後、2019年に『カラダよろこぶ、ちゃんとゴハン』をテーマに、kitchen846(やしろ)を創業しました。主な事業は、吉部米のおにぎりや地元食材を使った弁当の販売や、キッチンカーでのイベント出店です」
現在、八代谷さんは、kitchen846と並行し、定期的に移住者交流会を開いたり、宇部市と共に関係人口創出事業に取り組むなど、まちおこしも推進しています。それは、移住した当初も今も、地域の方々に支えられている恩返しをしたいからなのだそう。
「宇部市役所の方がしっかり根回しをしてくれていたこともあり、地域の皆さんは移住した当初から大歓迎してくれました。気軽に声をかけてくれたり、育てた野菜をお裾分けしてくれたり、知らないうちに庭の草刈りをしてくれたり…と、ものすごく親切でびっくりしました。すぐに地域になじめ、皆さんには本当に感謝しています。だから、私がしてもらったことを、今度は私がこれから来る移住者に返す番。山口県の魅力が伝わるよう、好きになってもらえるよう、できる限りのことをしたいんです」
「可能性が無限にあるのが山口県の魅力」と語る八代谷さんの頭の中には、やりたいことが次々と浮かぶそうです。
「都会にあるものが山口にはないことが多い。でも考え方を変えれば、可能性を秘めているということ。新しいことを始めたり、外から持ち込むことで、山口県はもっと楽しくなるし、魅力が増すはず。起業やまちおこしに挑戦したい人にはぴったりの県だと思います」
実際、八代谷さんは2年前に夏季限定で立ち上げた、かき氷店「コオリヤ846」や、宇部市北部地域の住民有志で立ち上げた地域の活性化を目指す団体「北翔六星(ほくとろくせい)」にも参加するなど、活動の幅を広げています。さらに今は、自宅でリンパマッサージ店を始める準備の真っ最中。
「吉部米のブランディングにも着手したいのですが、日々やることがいっぱいで難しい。地域の雇用創出にもなるし、仲間を募ってみんなで取り組んでいけたらいいなと考えています」
最後に、八代谷さんはどうやってリフレッシュするのかを尋ねてみました。
「角島に行くこと! おいしいものを食べて、温泉に入ること。温泉がたくさんあるのも山口県の魅力です!」
あふれんばかりの山口愛を持つ八代谷さんは、今日も地域のために飛び回ります。
八代谷 寿子(やしろたに ひさこ)さん
兵庫県出身。旅行で山口県を訪れた際、角島の美しさに魅了され、移住を決意。2016年に「地域おこし協力隊」として宇部市に移住。任期中は「地元の生産物などを活用したまちおこし」という任務に取り組む。卒業後、「カラダよろこぶ、ちゃんとゴハン」をテーマに弁当販売やキッチンカーでイベント出店するkitchen846を起業。まちおこしにも取り組む。
kitchen846
TEL 090-7378-0846
自然豊かなこのまちで
ずっと漁師を続けたい。
子育てするにもいいまちです。
埼玉県から山口県熊毛郡田布施(たぶせ)町に移住した加賀さん夫妻。移住理由は達成さんの夢をかなえるためでした。
達成さん「小学生の頃から釣りが好きで、いつか漁師になりたいと思っていました。東京で開催された漁業就業支援フェアに参加し、田布施町は師弟による漁業技術指導が行われること、さらには雇用型でなく、独立型で漁師ができることを知り、これしかないと思いました」
当時交際していた聖奈さんからの後押しもあり、達成さんは田布施町へ。まずは1週間漁業を体験し、その後、本格的な研修を2年間受けました。
聖奈さん「遠距離恋愛になって不安でした。でも、田布施の漁協が実施する、ベテラン漁師さんが師匠となって、独立できるまで個人指導で育てるという『ニューフィッシャー事業』に感銘を受け、応援しようと思いました」
無事研修を終え、達成さんは漁師に。そして、結婚を機に聖奈さんも山口県に移住。二人三脚の漁業の始まりです。
達成さん「田布施町には漁師の家族が集まって結成された水産加工グループ『新鮮田布施』があります。それぞれの家族が獲った魚をそれぞれがさばいて加工し、それぞれが販売します。それで得られる売上もそれぞれのものです。つまり、通常の水揚げと合わせ、市場では値がつきにくい魚や、規格外の魚を加工して販売することで利益をプラスしているんです。私たち夫婦も新鮮田布施に加わり、私の獲った魚を妻が毎回さばいてくれています」
聖奈さん「学生時代の調理実習でしか魚をさばいた経験がなく不安でしたが、師匠の奥さんをはじめとする新鮮田布施の奥さん方が一から教えてくれました。仕事だけじゃなく、スーパーなど地域の情報もくださるなど、移住当初からすごく親切にしてくださり、とても歓迎されているのが分かりました。想像以上に山口県になじめたのは、温かい皆さんのおかげです」
聖奈さんは第一子を埼玉県で、第二子を田布施町で出産。現在は夫婦で力を合わせ、子育ての真っ最中です。
聖奈さん「実は田布施町での出産の方が快適でした。埼玉の地元は人口も多く、基本は2人部屋の病院がほとんどです。でも田布施町は大きな病院で完全個室と、のびのびと過ごせたんです。次男は1歳から保育園に通っていますが、待機児童問題もなく、山口県は子育てがしやすいと感じています」
会社員をしていた頃より、ずっと幸せというお二人。ただ将来に全く不安がないわけではないそうです。
達成さん「漁獲量に波があるので、経済面での不安はつきものですが、覚悟を持って移住したので、漁師が十分に食べていける仕組みを作っていきたいです」
最後にお二人に、山口の魅力をお聞きしました。
聖奈さん「豊かな自然が一番の魅力。特に田布施町は気候もいい。地域の人も温かいし、子育てもしやすいです」
達成さん「漁師志望の方には充実した支援制度が魅力だと思う。本気で漁業をしたいなら、山口県へぜひどうぞ」
心地よい浜風を受け、幸せそうにほほ笑むお二人の様子が印象的でした。
加工場での作業の様子。
加賀 達成(かが たつや)・聖奈(せいな)さん
共に埼玉県出身。東京で開催された「漁業就業支援フェア」に達成さんが参加し、山口県熊毛郡田布施町の漁業への取り組みを知ったことがきっかけで移住。2年間の長期漁業技術研修を終え、達成さんが漁師として独立した後、結婚して聖奈さんも山口県へ。水産加工グループに加入し、二人三脚で漁業を営む。
山口県へのアクセス
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「山口県産 のどぐろ開き」 5名様
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