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やまぐち体験部

周防大島町|武者絵の染色体験

皆さんは、「山口県」といえば、何を思い浮かべますか? 「フグ」、「秋吉台」、「錦帯橋」…。
それだけ?! いやいや、山口県には他にも知ってもらいたい魅力が、各地域にたくさんあります!
第23回は周防大島町で武者絵の染色体験をしてきました!

岡本染工場外観の写真

岡本染工場

今回体験するのは周防大島町にある「岡本染工場(そめこうば)」です。この施設では、タペストリーサイズの武者絵の染色体験を楽しむことができます。

武者絵の染色体験

道路から見える「民宿」と書かれた屋根の写真

大島大橋を越えて左に進んでいくと「民宿」の文字が! この屋根が目印です

岡本染工場の入り口の写真

入り口に大きな武者絵がありました。近くで見ると大迫力!

教えていただくのは、この道60年の職人さん。
普段は職人として作品制作をしながら、隣接する民宿の経営もしています。
のりを流し込んだ筒紙の写真

筒紙(つつがみ)にのりを流し込んで線画を描いていきます

直江兼続の線画の写真

今回の体験で塗る武将は「愛」の字がトレードマークの直江兼続(なおえ かねつぐ)!

あらかじめ用意された線画に、色を塗っていきます。
線画は「筒描き」と呼ばれる技法により、塩が含まれたのりを使って描かれています。のりは湿度が高いと取れやすく、湿気の多い時期は、作業をするのに不向きだとか。
そのため、染色体験は基本的に秋から春にかけて行われています。
樹脂用染料の写真

樹脂用染料は、アクリル樹脂やナイロンなども染めることができる染料です

線画に染料を塗る様子の写真

まるで水彩のようなタッチ!

武者絵の制作で使われているのは「樹脂用染料」といって、水彩のように塗りやすく、色が落ちにくいのが特徴。
指に付いた場合は水洗いすれば取れますが、衣服に付いてしまったら落ちないので注意です!
塗り方は、基本的に単色でベタ塗り、パーツによっては立体感を出すためにグラデーションで塗ることも。
エプロンをお借りして、さっそく塗り始めていきます!
黄色の染料にオレンジの染料を重ねる様子の写真

黄色を下に塗って、オレンジを少し置いて…

染料を指で伸ばしてグラデーションにする様子の写真

指で伸ばせばグラデーションに!

まずは、絵の全体を見ながらどこにどの色を置くかをイメージして…。
塗りやすいかぶとの部分から黄色で塗っていきます。
何より、まず試したかったのがグラデーション! 外側にオレンジを置いて、それを人差し指で内側に向かって伸ばします。
単色の場合でも、色の上に水を付けて、指で伸ばせばグラデーションが作れます。
ピンクの染料で塗る様子の写真

鮮やかなピンク

緑色で濃淡を表現する様子の写真

緑色の自然な濃淡が美しいです

筆先の形を意識しながら、細いところは筆の角を使って慎重に塗っていきます。
塗り始めてから少したつと、筆の扱いに慣れた気になり、集中力も切れがち。すると…。
赤色がはみ出た様子の写真

赤がはみ出てしまった…

鎧のパーツや、胴のつながっている部分を塗る様子の写真

鎧のパーツや、胴のつながっている部分を意識しながら塗る

少しずれただけで、こんなにもはみ出してしまいました…。
薄い色であれば、上に濃い色を塗ることでカバーできるものの、基本的に元に戻せず。
これにはガックリ落ち込んでしまいます…もっと集中しなければ!
色鮮やかに塗り分けられた武者絵の写真

とっても色鮮やかです!

塗りの途中経過を確認する様子の写真

鎧の部分がグラデーションなので、絵の全体が見えなくても派手な仕上がりになるのが分かります

ようやくここまで塗ることができました。
作業に夢中になっていると1時間の作業が10分ほどに感じます。
実際には、丁寧に塗る時間よりも何色をどこに塗るか悩んでる時間が多い気がしますが(笑)
愛の字をピンクで塗る様子の写真

愛の字は派手にピンクで! 複雑な形なので、はみ出ないように集中して

塗り終えた愛の字の写真

なんとかきれいに塗ることができました

大事に取っておいた直江兼続のトレードマーク「愛」にも色を付けます。
一通り明るい色を塗ったら、あとは暗い色を置いていくだけ。
完成までもう少しです。
かぶとに色を塗る様子の写真

かぶとに色を塗っていきます

装飾部分の細かいところに単色の黒を塗る様子の写真

装飾部分の細かいところは単色の黒を塗ります

かぶとは、立体感を出すために濃いグレーと黒の2色を使って塗ります。
すでに作業開始から2時間半ほど経過しており、集中力もかなり切れかかっていました。
「黒を塗ればグッと引き締まるから」という職人さんの言葉に励まされながら、塗り進めます!
文字を塗る様子の写真

最後まで油断はできません

内側の絵柄にはみ出さないように外枠を塗る様子の写真

外枠の塗りは内側の絵柄にはみ出さないように!

枠は太い筆を使って塗ります。
枠の外側は切り落とすので、はみ出しても大丈夫。
内側の絵柄にはみ出ないようにキャンバスを回しながら、ブレないようにまっすぐ筆を走らせて…。
体験者分の作業を終えた作品の写真

全体が完成しました

職人さんが仕上げる様子の写真

職人さんに仕上げてもらいます

作業すること3時間。ようやく完成! 顔などの細かい部分は職人に加筆してもらいます。
作品は、乾燥させてのりを落とすなど、職人さんに仕上げてもらった状態で後日送ってもらえます。
完成した作品の写真

今回体験で完成したものがこちら。体験で塗り終えた後、数日置いて乾燥させます

乾燥を終え、後日届いた作品の写真

完成品が到着! 表情が付くとさらに迫力が出ます

岡本染工場のご紹介

岡本染工場内観の写真

岡本染工場内観

岡本染工場は、代々受け継いだ手染めによる制作にこだわり、のぼり・旗・室内のぼり・ベランダのぼり・大漁旗・絵のぼりなど、さまざまな染物を手掛けています。にぎやかなデザインが縁起がいいと、お祝いの品としても人気です。

今回体験した場所はこちら!

岡本染工場の地図
体験料4,000円 ※要予約(2人以上の参加で1人3,000円)
住所大島郡周防大島町大字西方下田1603-2
TEL0820-78-0173
FAX0820-78-0778
営業時間9時から17時まで
定休日不定休
駐車場あり
アクセス山陽自動車道玖珂ICより国道437号経由で約50分
JR大畠駅より防長バス(大島本線・大島線)乗車 下田バス停より徒歩約2分