柳井市|文香しおり作り・書写体験
皆さんは、「山口県」といえば、何を思い浮かべますか? 「フグ」、「秋吉台」、「錦帯橋」…。
それだけ?! いやいや、山口県には他にも知ってもらいたい魅力が、各地域にたくさんあります!
第19回は柳井市で文香(ふみこう)しおり作り・書写体験をしてきました!
清狂草堂
今回体験するのは柳井市の妙円(みょうえん)寺境内にある「清狂草堂」です。
清狂草堂(せいきょうそうどう)とは、明治維新の礎を築いた僧・月性
(※1)(げっしょう)が開いた私塾で、「西の松下村塾、東の清狂草堂」と言われ、維新史上に活躍した人材を多く輩出しました。清狂草堂内では、月性にちなんださまざまな体験が楽しめます!
文香しおり作り体験
「文香(ふみこう)」とは、手紙と一緒に香りを送るための小さな匂い袋で、平安時代から和紙そのものにお香をたきしめていた習慣に由来しています。詩人だった月性がよく手紙のやりとりをしていたことからこの体験を始めたそうです。
イラストは有志の方が作成したそう!
見本が用意されているので、色塗りにも困りません
まずはしおりとなる台紙の絵柄を選びます。
和紙でできた台紙は、20種類のイラストから二つ選ぶことができます。
今回は5月にちなんで、アヤメの花とかわいらしいサルの絵柄を選びました。
色鉛筆で試し塗りしてみました
風情ある茅葺き屋根。落ち着いて作業ができました
次は色付けの工程へ。色鉛筆または色付きの筆ペンから選ぶことができます。
台紙は和紙なので筆ペンがふさわしいかなと思いつつ、一発勝負できれいに塗る自信もなく…
迷った結果、二つとも色鉛筆で塗ることにしました!
清狂草堂からの風景。かつて多くの門下生が通っていました
清狂草堂はわずか6畳、4畳半あまりの小さな私塾ですが、「西の松下村塾・東の清狂草堂」と言われるほどの風格があります。現在の清狂草堂は建て替えられたものだそう。物音もなく静かで落ち着きます。
数少ない環境音も、鳥のさえずりと近くを走る電車の踏切の音だけ。さらに、手前の庭にはツツジが満開! 和室からは四季折々の景色を楽しめます。
完成! おさるさんの横の石垣はミカンに見立ててオレンジに塗りました
色を塗り終わったら、中に入れるお香
(※2)を選びます。
香りも見た目もカラフルなお香
特選のお香とライラックのお香を選びました
お香の種類は全部で八つ。ふたに香りと効能が書いてあるので、香りで迷った時は効能から選ぶというのもアリです。
なかには珍しいお香も! ミルキーの香りのお香は、まさしくミルキーを食べた時の香りで、お子さんに大人気だそうです。
お香をすりつぶします
ろうとを使ってすりつぶしたお香を入れて紙の袋を閉じます
お香をすりつぶしていきます。この時、塊(かたまり)を上から砕くのではなく回しながら自然にすりつぶすのがコツ。
粉々になっていくにつれて、香りが強くなっていくかと思いきやそんなこともありませんでした。
台紙に紙の袋を入れて…
ひもを選んでくくります
すりつぶしたお香をろうとで紙の袋に流し込み、閉じたものを台紙に入れてひもでくくれば文香しおりの完成!
あとは手作りの説明書きが付いた袋の中に入れるだけ。
文香しおりのでき上がり!
華やかな説明書きはガイドさんの手作り
香り袋は、袋に閉じてから1日置くことでだんだんと香ってくるそうです。手紙が届くころに香りが出ると考えるとちょうどいいですね。
裏面には月性の「男児立志(だんじりっし)」の漢詩がプリントされています。
裏には月性の詩がプリントされており、威厳を放ちます
月性の肖像画を見た吉田松陰は同じ画伯に肖像画を依頼したそう!
今回体験をした清狂草堂は、市の指定文化財に指定されているため、立ち入る時はとても緊張していました。
けれど作業中は、閑静な庭を前に時折静かな風が吹き抜けて、なんだか居心地が良く…当初の緊張は忘れていました! ゆったりした環境で、非常に貴重な体験が楽しめました。
書写体験
書写体験では、あらかじめ色紙にプリントされた「男児立志」の漢詩をなぞり書きします。
しかし、中学生以来の書写は思っていた以上に苦戦してしまい…。
「男児立志」の漢詩
筆の持ち方さえうろ覚えでした…
始めは、なぞり書きなら簡単だろうと油断していました。しかし、ほとんどが表外漢字のため、
一瞬でも気が緩めば、お手本から大きく外れてしまいます。
しかも、思っていた以上に集中力が途切れてしまい筆跡もブレブレに…。
落款だけは自信があります(笑)
なんとか完成! バラバラの文字の太さが苦戦したことを物語っています
最後に「清狂草堂」の落款を押したら完成です。
工程だけ見れば単純な作業かと思っていたものの、とてつもない集中力が必要でした。月性の漢詩に思いをはせ、書き写している間は、自分を見つめなおす貴重な時間になりました。完成した作品を家に飾り、落ち着きたい時や集中したい時、この体験を生かしたいと思います。
月性展示館のご紹介
妙円寺
体験後、月性の生誕地である妙円寺境内の「月性展示館」を見学しました。(別途入館料200円が必要になります)
実際に使用された映画のポスター(実物!)
伊藤博文が月性の墓を訪れた際に書いたもの
館内には、月性が着用していた網代(あじろ)笠や直筆の書、建白書の草稿などの展示がされているほか、明治維新で活躍した人物との関連を多く見ることも! また大正初期に製作されたとされる、月性の人生を描いたトーキー(無声映画)といった貴重な資料も所蔵されています。
ここ柳井市遠崎(とおざき)は萩藩の飛び地で、妙円寺の瓦には二文字三星(にもんじにみつぼし)の家紋が見られます
月性顕彰碑の碑文からは月性の人となりを感じられます
「〜月性を偲ぶ〜追慕月間」イベントチラシ
月性の銅像
また、月性の命日である5月10日から1カ月程度、月性をしのぶイベントが開催されています。
イベント期間中は、「文香しおり作り」と「書写」が無料で体験できます。(1日先着5人) また、希望者にはお抹茶の接待や、ガイドによる剣舞が披露されます。(〜6月8日まで)
- 月性は、またの名を「清狂」と号していました。
- 種々の香料をねり合わせたもの。
今回体験した場所はこちら!
体験料 | 文香しおり作り体験 300円
書写体験 300円 |
月性展示館入館料 | 200円 |
TEL | 0820-23-7259(月性展示館直通) |
住所 | 柳井市遠崎729 |
開館時間 | 9時から16時まで |
定休日 | 毎週月曜日・年末年始 |
駐車場 | 25台 |
アクセス | 防予フェリー柳井港およびJR柳井港駅からタクシー利用で約5分 山陽自動車道玖珂ICから車で約25分/熊毛ICから車で約25分 |