トップページ > 2022年4月22日 やまぐち体験部
やまぐち体験部

萩市|宙吹きガラス体験

皆さんは、「山口県」といえば、何を思い浮かべますか? 「フグ」、「秋吉台」、「錦帯橋」…。
それだけ?! いやいや、山口県には他にも知ってもらいたい魅力が、各地域にたくさんあります!
第18回は萩市で宙吹き(ちゅうふき)ガラス体験をしてきました!

萩ガラス工房外観の写真

萩ガラス工房

今回体験するのは萩市にある「萩ガラス工房」です。萩ガラス工房は、かつて皇族や幕末の志士たちも愛した萩の伝統品「萩ガラス」を製造している工房で、なんと国内で唯一の耐熱ガラス作りが体験可能な施設です。
原材料は地元・笠山で採掘された石英玄武岩(せきえいげんぶがん)。原石から精製し、独自の技術・手法でガラス作りをされています。

萩ガラスで宙吹きガラス体験

内ヒビ貫入ガラスの構造を示した図の写真

内ヒビ貫入ガラスの構造

萩ガラスは幕末に生まれ、公家や幕末の志士たちからも高い評価を受けていましたが、施設の焼失により一度は姿を消しました。それを現代に再現したのが「萩ガラス工房」。中でも、独自の技術である「内ヒビ貫入(かんにゅう)ガラス」の技法は国内では萩ガラス工房にしかない高度な技術です。
その特徴は、萩焼でも使われている釉薬(ゆうやく)を用いて貫入技法をガラス内部に封じ込めたもの。3層構造のため、熱湯にも電子レンジの使用にも耐えられます。また、時間の経過とともに内側のヒビが広がっていくので日々見た目の変化を楽しむことができます!
玄武岩の淡い緑をそのまま生かした硬質ガラスの写真

玄武岩の淡い緑をそのまま生かした硬質ガラス

棚に並べられた萩ガラス製品の写真

内ヒビ貫入ガラスは耐熱性があるため、熱湯を入れても大丈夫

宙吹きガラス体験では、玄武岩の淡い緑をそのまま生かした硬質ガラスか、耐熱ガラスである色付きの内ヒビ貫入ガラスで体験することができます(約3カ月周期で素材が変わります)。
今回は、内ヒビ貫入ガラスで体験!
きれいな萩ガラスの商品が並ぶ店内を進んだ先に、ガラス工房があります。
ガラス工房の様子の写真

ガラス工房の様子

まずは色と形を決めます。色は8色から、形は底が丸みを帯びたグラス、シンプルなグラス、高さのあるグラスの3種類から選ぶことが可能。今回はシンプルなグラスで春っぽい黄緑色を選びました!
体験で造るグラスの見本の写真

3種類の形と8色からと、組み合わせのバリエーションが豊か!

職人さんが準備をする様子の写真

形と色を選んだら職人さんが準備をしてくれます

まずは、先端にガラスを付けた「吹き竿」を回しながら、約1500度の窯の中でガラスを熱します。体験とはいえ、高温の窯で熱せられたガラスを素人がいきなり扱うのは至難の技…。もしものことが起こらないように、職人さんにマンツーマンで教えてもらいます。
形を崩さないよう一定の速度で回す様子の写真

形を崩さないよう一定の速度で回しながら

窯の中の様子の写真

窯の中がまぶしい…

窯の中がまぶしくて目がチカチカ…。それでも目を背けず、ガラスが変形しないよう常に一定の速度で回し続けます。
吹き竿を持ってガラスに息を吹き入れる様子の写真

空気が漏れないようしっかりと持ちます

職人さんが準備を終えたら吹き竿をしっかり持って、ガラスに思いっきり息を吹き入れます! ゴム風船をいくつも連続で膨らませるくらいハードでした(笑)
形を整えるため、火に当てては空気を吹き込む工程を、職人さんの指示のもと何度か繰り返します。
だんだんとグラスらしい形に変化していく過程が面白い!
木ごてで平らになった底の部分の写真

木ごてで平らになった底の部分

吹き竿からポンテ竿にガラスを移動させる様子の写真

熱が冷めないうちにくっつけます

作業台に吹き竿を置き「木ごて」を当ててガラスの底を平たくしていきます。
次に、吹き竿からガラスを切り離します。
先ほど平らにした底の部分に「ポンテ竿」をくっつけて、吹き竿に付いているガラスのくびれ部分を棒で叩くと、吹き竿からポンテ竿にガラスが移動しました。
ガラスのくびれ部分を棒で叩いて吹き竿から切り離す様子の写真

ガラスのくびれ部分を棒でカンカン! と叩いて、吹き竿から切り離します

穴を広げるためにつまんで広げる様子の写真

穴を広げるためにまずはつまんで広げます

あとは職人さんが仕上げてくれるので、邪魔にならないよう見学。
吹き竿が付いていた部分に穴を開けて専用の道具「ジャック」で口を広げます。
時々熱しながら、穴がきれいな円形になるように慎重に…。
ジャックを使って広げる様子の写真

ジャックを使って広げます

熱で腕が赤くなった様子の写真

あまりの熱で腕が赤くなっていました!

一定の速度で転がしながらジャックを使って理想的な幅に広げていきます。
直接触れてはいないものの、近くにいるだけで火に腕が触れたのかと錯覚するほどの熱さ。職人さんのサポートがなければ手を離していたかもしれません…。
ガラスの赤熱が収まってきた様子の写真

赤い色が落ち着き、それらしい形に!

ガラス徐冷炉の写真

ガラス徐冷炉の中に入れます

満足のいく形に整えたらガラスをポンテ竿から切り離し、そのままガラス徐冷炉へ。
完成が待ち遠しいです! 作品は翌日以降に送ってもらえます。
サクラの花とともに完成品を眺める様子の写真

時間とともに内ヒビが変化していくのが楽しみです

後日、ついに完成したグラスが手元に届きました!
新緑のような黄緑色が今の時期にぴったりです。萩ガラスの透明感と内ヒビの美しさで、より一層飲み物がおいしく感じられそう。重厚感のある手触りは、普段の生活を少しだけ特別な気持ちにしてくれます。
グラスの正面の写真

自然な色合いがとってもきれいで癒やされます

グラスの底面の写真

底から見ると透明

山口の偉人たちも愛した萩ガラス。
今回体験した内ヒビ貫入ガラスは、次第に内ヒビが進行していって3年ほどで落ち着くそう。内ヒビの変化を楽しみながら、日々大切に使っていきたいと思います!

萩ガラス工房のご紹介

販売コーナーの写真

販売コーナー

「萩ガラス工房」では、今回体験した宙吹きガラス体験のほかに、アクセサリー制作体験や彫刻体験もできます。また、店内では、グラスやマグカップなどのほか、高杉晋作の愛用したグラスの復刻品など、「萩ガラス工房」ならではの製品も販売されています。
ガラスの断面の写真

「内ヒビ」がないと熱湯で割れてしまいます

高杉晋作愛用グラスの復刻品の写真

高杉晋作の愛用していたグラスの復刻品も!

しょうゆ差しの写真

人気商品のしょうゆ差し

「ガラスのいろいろ」パネルの写真

店内の随所に萩ガラスの歴史や材質についての資料が展示されています


今回体験した場所はこちら!

萩ガラス工房の地図
 
体験料宙吹きガラス体験 4,000円
アクセサリー製作体験 1,800円
彫刻体験 2,200円
住所萩市大字椿東越ケ浜1189-453
TEL0838-26-2555
開館時間9時から17時まで
定休日年中無休
駐車場約20台(無料)
アクセスJR東萩駅から車で約15分