下関市編 Agawa
山口県の各地域の新しい食、気になる食をレポート!! 第17回は下関市編です。今回紹介するのはJR山陰本線の阿川駅に併設されている、小さなまちのkiosk「Agawa」です。
2020年8月1日に阿川駅の駅舎新設とともにオープンしたAgawaでは、物販やレンタサイクルの提供を行うほか、山口県山陰地方の特産品を使ったフードも販売しています。
今日は調理を担当されている西野さんにAgawaのこだわりポイントを伺いながら料理をいただきます!
線路の向こうに広大な田園風景が広がるJR阿川駅
列車を降りるとすぐ目の前にAgawaがあります
Agawaは人と人とが交わる交流拠点となることを目指して立ち上がったと伺いました。オープンから1年経過して、地域住民の方々との交流などは増えましたか?
そうですね。列車の待ち時間に駅舎ではなくAgawaに立ち寄って世間話をしてくれる方が増えましたし、お店に飾る用にとお花を摘んできてくれる方もいます。今年の夏も暑かったので、子どもたちがソフトクリームを食べに来てくれることもありましたね。
オシャレだけど温もりも感じられる店内は気軽に入れる雰囲気がありますね。1人で列車を待つ時間は退屈なので、私も絶対世間話をしに入っちゃうと思います(笑)
中に入るとさまざまな野菜が目に入りますが、こちらは地元産ですか?
そうなんです! Agawaでは地元の農家さんが育てた野菜を新鮮なうちに使っているので、素材のおいしさを最大限に感じていただけます。この野菜はなんと温泉水を使って栽培されているんですよ。温泉に含まれる塩分が野菜の甘みなどをより引き出すんです。
店内のカウンターにはその日使う食材が並んでいます
温泉水で栽培された野菜たち。本当に驚く甘さです!
なんと温泉水で野菜を! 届いたばかりのトウモロコシを試しにかじらせてもらいましたが、フルーツではないかと思うほどの甘さでビックリしました! 平均的なメロンよりも糖度が高いのだとか!
野菜だけでなく、ハーブやお肉もAgawaから車で1時間圏内の地域で生産されているものを仕入れています。実際に生産者の方に会って、それぞれの食材が生まれた物語も聞いて、これならきっとAgawaに合う! と思ったものを使っているんです。
食材選びに力を入れておられるのですね。
そんなこだわり素材のメニューから、まずは「シカ肉と季節やさいのカレー」をいただきます。
ドリンクもフードも地元のこだわりが詰まっています
野菜がぜいたくに盛られているシカ肉と季節やさいのカレー
なんといってもこのやさいカレーの名に恥じない野菜の量! 野菜好きの人にはたまらない光景だと思います。ルーは体感的に中辛くらいでしょうか? でも爽やかな酸味があって、辛味が苦手な人でも食べられそうです!
野菜をペーストにする時に、山口県の伝統果樹でもあるゆずきちも混ぜているんです。酸味がまろやかなので主張しすぎず、他の食材をより生かしてくれます!
なるほど、目に見える食材以外にも地元の素材がしっかり使われているんですね! シカ肉も全くクセが無く、全体の味が見事に調和した一皿で、あっという間に食べ終えてしまいました。
もう一品料理を頼む前に、「ゆずきち炭酸水」でひと息つきましょう♪
ゆずきちとハーブの鮮やかなグリーンが映えるドリンクです。
ゆずきちは晩夏から秋に収穫されるので、まさに今が旬なんです!
添えてあるハーブは長門市の棚田で育ったものなんですよ。ゆずきちの酸味と合わさるととても爽やかで気持ちの良い飲み口になります!
ストローでハーブを少し潰すようにすると、ハーブの爽やかさが一段と感じられますね! まずはそのまま飲んで、途中からハーブ感を足すと、味の変化を楽しめます。ゆずきちもハーブも、そのまま食べてもおいしいですよ~!
かわいらしい見た目のゆずきち炭酸水
地元産ならではの新鮮なハーブがいつも堪能できます
さて、口の中がさっぱりとリセットされたところで「イノシシソーセージのホットドッグ」もいただきましょう!
こちらもソーセージと一緒に野菜ペーストやハーブなどが添えられていて見た目にも楽しいホットドッグですね。
このホットドッグはパンにもとてもこだわっています。Agawaの目の前の田園風景を見ても分かるとおり、山口県の山陰地区は米どころでもあります。ホットドッグにもお米の風味を生かしたいという思いがあったので、パン工房に相談し、米ぬかを小麦に混ぜて焼き上げる米ぬかパンを作りました。
パンからこだわり抜いたイノシシソーセージのホットドッグ
カウンター前の販売スペースにはお米を使ったビスコッティなどもあります
確かに口に入れると小麦の風味と一緒にお米の香りが広がりますね! 米粉パンとはまた違った味わいで、外側のザクっとした食感と内側のもちもちした食感の違いもやみつきになりそうです。
イノシシ肉のソーセージはジューシーですが臭みが無く、野菜ペーストやハーブと相まってパクパクと食べやすい仕上がりです。カレーと同じく気付いたら無くなっていますよ(笑)。
お米、お肉、野菜、ハーブなど全ての食材に地元の方々の思いがこもっているので、私たちもその思いを絶やさずにAgawaへ来てくれた方へ伝えられるよう調理に力を入れています。
基本の献立は変わりませんが、それぞれの食材の旬に合わせて使い方に変化をつけたりもしていますので、四季折々の味を楽しんでいただけたらと思います。
どのメニューもすごくおいしくて、とてもこだわりを感じました! でもそんなこだわりポイントを話す西野さんは本当に楽しそうで、言葉の一つ一つから地元愛を感じました。
話せば話すほど、食べれば食べるほど山陰地方の魅力が分かるAgawa、皆さんもぜひその魅力を体感しに行ってみてください!
西野さん、ありがとうございました!
【取材を終えて…】
今回の取材日は雨風が強いあいにくの天気でしたが、地元の方が列車を待つ間にAgawaのスタッフの方々と「今日は急に冷えたね」「こんなに雨風が強いと列車が動かんかも」と世間話をされる場面も見え、このお店が地域に根付いてきているのを感じることができました。
天気が良い日にはどんな人が集まるのだろう? 田んぼが青い時にはどんな景色になるのだろう? と帰った後にも気になるAgawa。また行こうという気にさせてくれるのは、そこで出会う人達が自然体のまま心を開かせてくれるからだと思いました。次に訪れた時はどんな出会いがあるのか、今からとても楽しみです。