移住された方に、移住のきっかけや、やまぐち暮らしの良さを語っていただくコーナーです。
今回は、田布施町に移住(Uターン)された、株式会社 anerico 代表取締役 上杉朋未(うえすぎ ともみ)さんに、移住後の暮らしぶりや移住先の良いところなどについて伺いました。
―人と人との距離感が近いのは、地方ならではの魅力だと思います―
田布施町|上杉朋未さん 後編
Uターンされてからの暮らしはいかがですか?
とても快適です! 釣りに出かけたり、家庭菜園にいそしんだり、家族全員で田布施町での暮らしを満喫しています。私自身も、子どもと一緒に空手や太鼓の稽古に励むなど、趣味を楽しむ時間もできました。家族と一緒に過ごす時間が増えて、以前に比べて笑うことが増えた気がします。
また、リモートワークのおかげで仕事と子育てとのバランスも取れていると思います。
子育てで何か変化はありましたか?
東京で子育てをしていたときよりも安心感が大きいですね。東京だと、困ったことが起きたときは、周囲に助けを求めるのではなく、公的なサービスに頼ることがほとんど。お母さん同士のつながりはあるものの“孤育て”になりがちでした。
でも、田舎はお互いさまの精神が根付いているので、困ったときにはすぐに周りに助けを求めることができます。
それに、地域の方々が、子どもを“地域の宝”だと思って接してくださることも大変ありがたいです。登下校の際に、いつも優しく声をかけてくださるので、地域の皆さんに見守ってもらっているという安心感があります。
地域にはすぐに溶け込めましたか?
職場やご近所の方々がとても親切にしてくださったので、すぐに周囲に溶け込むことができました。
田舎では、野菜や果物をいただいたり、釣った魚をお裾分けしたりといったコミュニケーションが日常茶飯事です。都会では味わえなかった温かいご近所付き合いが増えて、「何か困ったことがあれば周りに相談できる」という安心感も生まれました。こうした、人と人との距離感が近いのは、地方ならではの魅力だと思います。
地域に溶け込むために、何か意識されたことはありますか?
Uターンとはいいながらも、15年間地元から離れていたため、知らない土地に来たのも同然でした。
そこで、自分から積極的に地域との接点をつくることを意識しました。PTAの役員として広報誌を作ったり、放課後こども教室のお手伝いをしたり、キッズ向けプログラミングクラブでメンターをしたり、田布施の快適環境づくり推進協議会の委員に応募したりと、さまざまなボランティア活動に参加して、人とのつながりをつくるように心掛けました。多様な方とのつながりができたことで、地域の情報がどんどん入ってくるようになり、より生活が楽しくなりました。
田布施町の良いところはどんなところですか?
自然が豊かなところです。自宅のすぐ目の前にきれいな海が広がっていて、夜は満天の星を見られます。
それに、朝昼晩、春夏秋冬がはっきりと感じられるので、都会にいたときよりもメリハリのある生活を送ることができています。都市部に比べて人間関係が密なところも気に入っています。
また、田布施町は全国から漁師や農業従事者などを募集していて、実際に東京や大阪から移住してきた方もたくさんいます。移住者を迎え入れる土壌はあると思うので、ぜひ安心して田布施町に移住してほしいです!
移住をお考えの方にアドバイスをお願いします。
自分から地域に溶け込むことが一番だと思います。移住先では分からないことも多いと思うので、いろいろな活動に飛び込んでみてはどうでしょうか。「楽しもう!」という前向きな気持ちが周りに伝わっていけば、好循環が生まれていくと思います。
また、それまでの私は頼まれると断れないタイプだったのですが、移住してからはできないことははっきりと「NO」と言うように心掛けています。無理して引き受けると、ミスをしたり期日までに間に合わなかったりと、相手に迷惑をかけてしまう恐れも出てきます。末長く良いお付き合いをするためには、断る勇気も必要だと考えるようになりました。
最後に、これからの目標をお聞かせください。
実は、3年前に病気が見つかり、治療中です。病気になったことをきっかけに、「せっかく生きているのだからもっと楽しもう」「もっと人のためになることをしよう」と、良い意味で気持ちに変化が生まれました。今後は、これまで培ってきたITのスキルを使って、地域が抱える課題を解決するお手伝いができればいいなと思っています。
上杉朋未さん
うえすぎ・ともみ/熊毛郡田布施町在住 株式会社 anerico 代表取締役
山口県熊毛郡田布施町出身。大島商船高等専門学校を卒業後、大阪のIT企業に就職し、1年後に転勤。そこから15年を東京で過ごす。29歳で結婚、32歳のときに株式会社 anericoを設立。2017年に田布施町にUターン。3児の母として子育てに奮闘しながら、仕事にボランティア活動にと精力的に活動している。