トップページ > 2021年4月23日 食レポ!! やまぐち
食レポ!! やまぐち

岩国市編 やましろべっぴんアイス

山口県の各地域の新しい食、気になる食をレポート!! 第11回は岩国市編です。今回紹介するのは、やましろ商工会女性部の皆さんが開発した「やましろべっぴんアイス」。地元の酒蔵が黒紫米(こくしまい)(※1)などを用いて開発した新感覚の日本酒「黒まいん」の酒かすと、ジャージーミルクを用いて生まれたアイスクリームです。特徴は、優しい薄紫色と、酒かすのほのかな香り。平成25(2013)年に開発され、今ではやましろ地域の人気商品の一つに!! そんなうわさのやましろべっぴんアイスについて、やましろ商工会女性部に話を伺いに、それでは行ってきます!!
取材をするきらりんのイラスト
やましろべっぴんアイスの写真

これがうわさのやましろべっぴんアイス!!

やましろ商工会女性部のお二人の写真

やましろ商工会女性部のお二人に話を伺いました!

やましろべっぴんアイス。どういう経緯で誕生したんですか?
平成19(2007)年度に岩国市北部やましろ地域(美和・美川・錦・本郷)の四つの商工会が合併して「やましろ商工会」となり、女性部も発足しました。やましろ商工会自体、特産品開発に活発な商工会。そうした中、女性部の部長が中国・四国ブロック商工会の交流会に参加し、特産品開発の発表を聞いて心を動かされ、女性部でも「お土産として気軽に持っていける特産品を開発しよう」ってなったんです。まず、役員それぞれが試作品を持ち寄ることに。そのとき、役員である酒蔵の奥さんから「黒まいん」の酒かすを使ってみては? と提案がありました。そしてそれぞれが黒まいんの酒かすを用いて作ったお菓子やパンなどの試作品の中に、家庭用のアイスクリームメーカーで作ったアイスクリームがあったんです。その後、試食会やテストマーケティングでも評判が良かったアイスクリームなど三つを商品化することに。そして平成25(2013)年度に商品として完成したんです。
今、お話に出た、黒まいんについて教えてください。
本郷町の農家さんが栽培している古代米「黒紫米」と、「やまぐち・桜酵母(※2)」を用いて、錦町にある酒蔵が開発した新感覚の日本酒です。淡い紫色と、上品な味わいが特徴のお酒で、瓶もオシャレ。スパークリングタイプもあります。とても評判で、海外でも販売されるそうですよ!!
黒紫米の写真

岩国市本郷町で栽培されている黒紫米

「黒まいん」の写真

「黒まいん」。右がスパークリングタイプです

実は私も黒まいんのスパークリングタイプを飲んだことがあります!! 色がきれいで、味わいはシャンパンのよう。「えっ、日本酒?!」とびっくりしました。やましろべっぴんアイスのもう一つの主原料、ジャージーミルクはお隣の島根県吉賀町の牧場のものだそうですね。アイスクリームはどのように商品化していったんですか?
製造は、さまざまなアイスクリームを作っておられる吉賀町の事業者さんにお願いしました。まず、酒かすの割合を変えた複数の試作品を作ってもらい、みんなで試食して選びました。ジャージーミルクならではの濃厚さがあって、でもすっきりしていて、酒かすのほのかな香りも感じられる、薄紫色もきれいな、とてもおいしいアイスクリームです!!
ふたを取ったやましろべっぴんアイスの写真

ほのかな酒かすの香り。うーん、とろける幸せ…

店頭の冷凍庫に並べられたやましろべっぴんアイスの写真

これはもう、やましろ地域発の“高級アイス”です!!

昨年7月には登録商標を行ったそうですね?
はい。当初は「べっぴんアイスクリーム」という名称で、やましろ地域のイベントで販売するぐらいでした。次第に販売してくださるところが増え、でも、カップには正式なラベルがなく、女性部PRキャラクターのタヌキのイラストのシールを貼って販売していたんです。お客さんからは「それじゃ、何の商品か分からん」って言われたり、名前を覚えてもらえなくて、ただ酒かすアイスって言われたり(笑)。その後「やましろブランド(※3)」の認定商品となり、山口県の特産品奨励賞も受賞し、人気が高まってきたことからラベルを作成。そして、やましろ地域のことを知らない皆さんに地域のことを知ってもらうきっかけになればと考え、やましろべっぴんアイスとして商標登録し、ラベルも一新したんです。
地面に置かれたやましろべっぴんアイスの写真

紫色のラベルが印象的です!!

スプーンですくったやましろべっぴんアイスの中に黒紫米の黒いつぶつぶが見える様子の写真

バニラビーンズのような小さな黒いつぶつぶが黒紫米の証

人気が自然に高まっていったんですね!! 現在はどこで購入できますか?
道の駅ピュアラインにしきや、にしき産品ステーション、錦川清流線錦町駅売店、美川ムーバレー山ほたる、FAM‘Sキッチンいわくに、ふるさと市場併設の和み喫茶陽だまり(美和町)で販売しています。あるお店では、海外発祥の高級アイスクリームを売っていて、やましろべっぴんアイスはそれより価格が高いのによく売れるって言ってくださって。とてもうれしいですね!! また、人気が高まってきたことからギフト用の6個入り、12個入りセットも販売するようになり、オンラインショップでご購入いただけます。
道の駅ピュアラインにしきの写真

道の駅ピュアラインにしき

にしき産品ステーションの写真

にしき産品ステーションなどでも販売中!!

「錦帯橋」近くの岩国市観光交流所「本家 松がね」では、やましろべっぴんアイスをもなかの皮ではさんだ「錦帯橋アイスモナカ」を楽しめますね!! 私はそこで初めて食べて、おいしさに感動しました!!
ありがとうございます!! やましろ地域にも、新緑が美しい寂地峡や羅漢山のほか、子どもたちに人気の美川ムーバレーなど、密になることなく、楽しめる場所がたくさんあります。ぜひお越しください!!
たくさん並べられたやましろブランド認定品の写真

やましろブランド認定品はほかにもたくさん!!

岸根栗(がんねぐり)を使ったお菓子の写真

特産品で大粒の岸根栗(がんねぐり)を使ったお菓子も

【取材を終えて…】

鼻を近づけると、ああ、ホント! ほのかに酒かすの香り。そして舌の上でとろけていくアイスクリームは濃厚なのに上品で優しい味。しかも華やかな味が口の中に広がっていくのは、黒まいんの酒かすだからこそ…。うーん、これはもう立派な高級アイスクリームです。やましろべっぴんアイスというネーミングもイイ。“べっぴん”という言葉を選んだのは、「美人」という意味に加えて、「特別に優れた品」という意味もあるからだそうです。黒紫米には、ポリフェノールの一種、アントシアニンが含まれていて、ポリフェノールといえば美容や健康にうれしいキーワード。おいしい上にキレイになれる?…なら、もう感謝と拍手です!! それにしても地域の皆さんが連携し合って、そこにしかない魅力的な特産品が生まれ、口コミで人気がどんどん高まっているというのは、とてもうれしいお話でした。「開発していく過程で、みんなで話をすることで知ったことはたくさんありました。みんなで一生懸命作った商品。これからも長く継続していけるよう、販路拡大に努めます。でも、あまり欲張らずに…(笑)」と女性部長さん。やましろ地域は、のびのびできる自然も豊かな、とてもいい所です。皆さんも、とろける幸せを味わいに、ぜひどうぞ!!
  1. 種皮に、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが含まれた、黒紫色の米。黒米(くろごめ)、紫黒米(しこくまい)、紫米(むらさきまい)ともいう。本文※1へ戻る
  2. 山口県産業技術センターと宇部工業高等専門学校の共同研究で開発された、桜の花から分離した、高濃度のアルコールを生産する酵母。本文※2へ戻る
  3. やましろ地域内で生産されたものを使用して製造、加工されているものの中から、やましろ商工会の支援事業で商品化したものなどを、やましろ商工会が認定しているブランド。本文※3へ戻る