トップページ > 2022年8月26日 食レポ!! やまぐち
食レポ!! やまぐち

下関市豊田町編 真っ黒ポッポグルメ

山口県の各地域の新しい食、気になる食をレポート!! 第27回は下関市豊田町編です。
今回ご紹介するのは、豊田町道の駅「蛍街道西ノ市」に毎月一度登場する「真っ黒ポッポグルメ」です。「真っ黒?」「ポッポ?」と、名前を聞いただけではさっぱりイメージできないこのグルメ。おそらく色は黒いのでしょうが、一体どんな食べ物なのか…?
「真っ黒ポッポグルメ」の正体をつかむべく、「蛍街道西ノ市」まで広報担当の松田さんにお話を聞きに行きました!
取材をするきらりんのイラスト
豊田町道の駅「蛍街道西ノ市」の写真

豊田町道の駅「蛍街道西ノ市」。駅舎は昔ながらの農村の集落をイメージしているそう

西ノ市温泉「蛍の湯」の写真

西ノ市温泉「蛍の湯」。やさしくぬるっとした泉質の天然温泉で、「美人の湯」として有名

自然豊かな下関市豊田町にある道の駅「蛍街道西ノ市」といえば、その名前にもあるようにホタル、そして温泉で知られています。しかし、最近では「真っ黒ポッポグルメ」が話題になっているそうですね。「真っ黒」は見た目のことだと想像がつきますが、「ポッポ」とはなんでしょう?
「ポッポ」とは、当道の駅の中庭にある蒸気機関車「長門ポッポ」のことです。「長門ポッポ」は、1918年から1947年の間、下関市の小月から豊田町の西市までをつないでいた長門鉄道を実際に走っていた蒸気機関車です。1947年に引退した後、東洋レーヨン株式会社に売却され、その後、さらに宝塚ファミリーランドに寄贈されました。しばらく展示された後、今度は京都府与謝野町の鉄道保存展示施設「加悦SL広場」に展示されていましたが、2020年3月末の施設閉園に伴い、下関市の有志「長門ポッポを守る会」の尽力により、74年ぶりに豊田町に里帰りしたのです。
駅中央の広場の「長門ポッポ」の写真

駅中央の広場には、かつて長門鉄道を走っていた機関車、通称「長門ポッポ」(SL101号機)が

SLポッポのイメージキャラクター「ポッポくん」の写真

SLポッポのイメージキャラクター「ポッポくん」。「ポッポの日」限定の撮影会は大人気!

なるほど、「ポッポ」とは蒸気機関車のことだったんですね。では、「真っ黒」はやはり蒸気機関車の色から来ているのでしょうか?
はい。せっかく「長門ポッポ」が帰ってきたのですから、地元の方々や観光客のみなさんにもっともっとその存在を知ってもらおうと、道の駅では毎月第1日曜を「ポッポの日」とし、イベントを開催することにしました。そして、イベントを盛り上げるために、イメージキャラクターと何か話題になる食べ物を誕生させることにしたんです。それで、実際に生まれたのが、愛らしい表情の「ポッポくん」と「真っ黒ポッポグルメ」だったというわけです。
くりくりおめめの「ポッポくん」、確かに愛らしいですね。では、「真っ黒ポッポグルメ」にはどんなものがあるのですか?
「真っ黒ポッポグルメ」の内容は、「黒」という共通点以外、イベント開催時によって変わります。道の駅内にある「レストラン万作」、「喫茶せせらぎ」、「パン工房月招堂」それぞれが、季節や旬の食材を考慮し、その時期にぴったりな真っ黒グルメを提供してくれています。ですので、「ポッポの日」は訪れるたびに新しい真っ黒グルメに出会えるイベントでもあるんですよ。
毎回違うものが味わえるなんて、それは嬉しい! 何度でも訪れたくなりますね。では、早速ですが、このたび(2022年8月7日)の「真っ黒ポッポグルメ」をご紹介ください。
まずは、提供すれば毎回大好評の「ポッポブラックカレー」からどうぞ。
「ポッポブラックカレー」の写真

ルーに竹炭パウダーを混ぜた「ポッポブラックカレー」。その黒さにびっくり!

スコップ型をしたスプーンの写真

梨の果汁を加えたルーは程よい甘み。スコップ型をしたスプーンが可愛い!

わあ! 本当に真っ黒! でもトッピングの野菜の色が引き立ってすごくおいしそうです。見た感じだと、ルーがとっても滑らかそう。でも辛そうな印象があります…。
確かにルーが真っ黒だと辛そうに見えますよね。でも実際はどうでしょう…? ぜひ食べてみてください。
お言葉に甘えて、いただきます! おっと、スプーンの形が普通のものとは違いますよ。
スプーンは、石炭をくべるスコップをイメージしています。機関車だからこそのこだわりの演出です。
楽しい演出で子どもが喜びそうです! ではでは、一口…。お、思ったより全然辛くない! 深みがあって、複雑な味わい…。カレー専門店で味わうような本格的なおいしさです。でも甘みもしっかり感じられて、子どもでも一度食べたらファンになりそう。この黒さと甘さはどうやって出しているのですか?
黒い色の正体は竹炭パウダーです。ルーに混ぜることで、ここまで深い黒を完成させています。竹炭は、天然のミネラル分が豊富に含まれ、腸内環境や便通の改善に効果が期待されると言われているので、そういった意味でもぜひ食べていただきたいですね。そして、甘みの正体は…、なんと豊田町産の二十世紀梨の果汁なんです。
梨の果汁なんですね! どおりでフルーティーでくどくないはず。地元の果実が使われていると思うと、ますますありがたみを感じます。あれ、ご飯も白米ではありませんね。
そうなんです。ご飯には黒米と豊田町産の赤米をブレンドしています。トッピングの野菜も基本的には地元産で、豊田町の美味をこの一皿に盛り込めるだけ盛り込みました。
次は、こちらの「五穀の黒カレーパン」をどうぞ。
「五穀の黒カレーパン」の写真

生地に竹炭パウダーを練り込んだ「五穀の黒カレーパン」。中には濃厚カレーが

「ポッポくんのおやつ」の写真

人気の無添加レーズン食パンにチョコレートを混ぜた「ポッポくんのおやつ」

こちらも驚くほど黒いです! まずは二つに割ってみますね…。おお、程よくとろけたチーズに真っ黒なカレールー。割と濃厚そうなビジュアルです。
こちらもパン生地に竹炭パウダーを練り込んでいます。中身のカレーはちょっぴりスパイシーですが、パン生地の甘さとのバランスは抜群です。チーズはとろとろ感と焦げの風味が両方味わえ、いいアクセントになっていると思いますよ。
ほんとだ! ルーは、「ポッポブラックカレー」よりやや辛いですが、パン生地と一緒に食べるのでちょうどいい。重量感もあって1個で満足できそうです。
ルーはハト麦や黒米を入れることで、より黒く仕上げているんですよ。「ポッポブラックカレー」に比べたら、やや水分が少なくて重め。おっしゃる通り、濃厚です。パン生地との相性を考えてたどり着いた味で、子どもからお年寄りまで、いろんな方々から「食べやすい!」とご好評の声をいただいています。
手に取るのをためらうくらいの黒さですが、これくらいとことんやった方が記憶に残りますね。では、こちらのチョコパンもいただいていいですか?
「ポッポくんのおやつ」ですね。石炭をイメージした一口サイズのおやつです。ぜひどうぞ!
思ったほど甘くなく、チョコレートの深みがしっかり感じられます。あれ? チョコレートの風味の後ろに、ほんのり甘酸っぱさが隠れているような…。
よくおわかりで! 実は無添加のレーズン食パンを使っているんです。ベルギー産チョコレートを混ぜた山口県ブランド牛乳「やまぐちきらら牛乳」を、しっかりと染み込ませています。こちらもより黒くするために竹炭パウダーを使っていますよ。
一口サイズで食べやすい、まさに「おやつ」ですね。ついつい手が伸びてしまいます。さて、最後は真っ黒なアレをいただいてもいいですか…?
「ポッポブラックソフト」ですね! どうぞお召し上がりください!
「ポッポブラックソフト」の写真

チョコソフトに竹炭を混ぜ込んだ「ポッポブラックソフト」。チョコ&ミルクのミックスも好評

ポッポくんグッズの写真

大人気のポッポくんグッズ。Tシャツやマグネットなど普段使いしやすいアイテムがそろう

うん! おいしい! チョコレートですが甘ったるくなく、さらっと食べられます。「真っ黒ポッポグルメ」初心者におすすめの、手軽に挑戦できるメニューですね。
竹炭は無味無臭なので、味は普通のチョコレートソフトです。食感はややしっとりですかね。口の周りが黒くなったりして、子どもも大人も思わず笑顔になるソフトです。コーンも黒くするために、ココア味にしています。ミルクソフトとのミックスも人気ですよ。
盛りだくさんの「真っ黒ポッポグルメ」、本当にありがとうございます。インパクトも味も申し分ないものばかりでした。どのグルメにも「蒸気機関車ポッポ」と蛍街道西ノ市、豊田町への愛情がたっぷり込められているのを感じました。
冒頭にも申しましたが、「ポッポの日」のたびにいろんな「真っ黒ポッポグルメ」が登場します。ぜひ何度も足を運んでいろんな真っ黒グルメを楽しんでください! それと、かわいいポッポくんグッズもぜひ手にとってみてください。Tシャツやミニポーチなど、日頃から使えるものばかりですよ。
承知いたしました! 次回は、「ポッポの日」限定のポッポくんとの撮影会や、西ノ市温泉「蛍の湯」の木炭の湯も楽しみたいです。本日はありがとうございました!

【取材を終えて…】

毎月第1日曜に開催される「ポッポの日」には、市内外から多くの人が訪れるそうです。「真っ黒ポッポグルメ」、ポッポくんとの撮影会、木炭の湯とお楽しみは満載ですが、「ポッポの日」誕生のきっかけとなった「長門ポッポ」の見学もお忘れなく。
「長門ポッポ」は、下関市小月町から現下関市豊田町西市間の約18キロの距離を、時速20キロの低速で1時間かけて結んでいたそうです。そして、人々の交通手段としてはもちろんのこと、木材や農作物などの運搬にも大活躍。バスや自動車の発達により、惜しまれながらその役割を終え、廃線となりましたが、沿線地域の発展に大きく貢献した機関車なのです。そんな歴史に思いをはせながら「長門ポッポ」を眺めると、思わず感謝の気持ちが込み上げてきます。
「長門ポッポ」というさらなる魅力がプラスされた「蛍街道西ノ市」に、ぜひ足を運んでみてください。