トップページ > 2021年11月26日 食レポ!! やまぐち
食レポ!! やまぐち

長門市編 ながとりめん

山口県の各地域の新しい食、気になる食をレポート!! 第18回は長門市編です。
今回ご紹介するのは、長門らしさをぎっしり詰め込んだラーメン「ながとりめん」! 長門市役所の職員の方々が結成したグループ「チームNGT(エヌジーティー)」により開発され、長門のご当地グルメNO.1を決める「N-1グランプリ」で準優勝を獲得した一杯です。
それでは、完成までの道のりやおいしさの秘密、実際に食べられるお店など「ながとりめん」のあれやこれやを、チームNGT代表の西原さんに聞きに行ってきます!
取材をするきらりんのイラスト
「ながとりめん」を提供するお店の写真

「ながとりめん」を求めておじゃましたお店。長門市の厳選食材を使った料理に定評があります

お店の内観の写真

店内には個室も完備

 
はじめに「チームNGT」について伺います。いつ、どんな目的で結成されたんでしょう?
仙崎イカや長州どり、長州ながと和牛など、長門には海と山のおいしい食材がそろっています。「チームNGT」は、それらの食材をもっとPRするために2012年4月に結成しました。メンバーは長門市職員有志による40人で、長門の食材を使用したメニューの開発やイベントへの出店などさまざまな活動を展開しています。
 
なるほど。では、数ある食材の中から長州どりを選び、「ながとりめん」を開発されたのはなぜですか?
チームNGTを結成した年の7月に、長門のご当地グルメNO.1を決める「N—1グランプリ」が開催されることを知り、私たちも挑戦することにしました。お題が「長州どりまたは長門の海産物を使った料理」だったので、せっかくなら日常的に食べてもらえる料理にしようと長州どりを使ったラーメンを作ることになりました。
長州どりの写真

こちらが長州どり。「平飼い」でのびのびと育てるため、健康で肉質がいいのが特徴。飼料にはハーブがブレンドされているそう

長州どりの焼き鳥を焼く様子の写真

長門は人口1万人あたりの焼き鳥店舗数が日本トップクラスの「やきとりのまち」。長州どりがいかに愛されているのかが分かります

「N-1グランプリ」のお題によっては全く違う料理が誕生した可能性もあったんですね!
おっと、できたての「ながとりめん」が運ばれてきましたよ。冷めないうちにいただきます!
ながとりめんの写真

こちらが「ながとりめん」。具材は、長州どりのチャーシューと煮卵と韓国海苔と刻みネギ

ながとりめんの麺を箸で持ち上げる様子の写真

太めの麺で食べ応えがありそう! 琥珀色のスープも食欲をそそります

まずはスープから! 一口で鶏のおいしさがブワッと広がりますよ。塩味もちょうどいい! 魚介の風味も感じます。皆さんは料理に関しては素人さんですよね? 開発は大変だったのでは?
この長州どりのガラをベースにしたスープ作りは本当に大変でした。鶏ガラだけではどうしても味が締まらない。濃厚なコクがないんです。そんな時、我が家の夕食に出てきた手羽先の煮物を食べて、「鶏皮からしみ出る油とうま味…、これだ!」とひらめきました。鶏ガラ、鶏皮、野菜を一緒に4〜5時間煮込み、魚介のスープと合わせて長門産のしょうゆで味付けし、ようやく理想の味が完成したんです。
鶏のうま味がギュギュッと詰まったこのスープは、皆さんの苦労の結晶なんですね。しっかりとコクがあるのにしつこくないし、魚介とのバランスもすごくいい。しかも、モチモチの太麺によく絡みます。具材のやわらかいチャーシューと半熟煮卵もスープに負けない存在感を放っています。食事としても申し分ないですし、飲んだ後の締めにも最高! また食べたくなる、クセになるおいしさです。
ながとりめんのチャーシューを箸で持ち上げる様子の写真

長州どりのモモをゆでてタレに漬け込んだ鶏チャーシュー。ほろっと崩れるやわらかさ!

ながとりめんの煮卵を箸で持ち上げる様子の写真

見よ! この絶妙な半熟加減! とろりとした黄身がまろやかさをプラスしてくれます

この薬味は何でしょう? 赤いのは柚子こしょうで、黒いのは…ゴマ?
味変用の柚子こしょうと黒ごまラー油です。長門では、柚子こしょうや一味唐辛子、ガーリックパウダーを使って味の変化を楽しみながら焼き鳥を味わいます。それで柚子こしょうを取り入れてみました。黒ごまラー油は、黒いものを取り入れたかったからです。というのも、開発時に上司から「色味として赤と黒が必要!」と言われまして…。いまだになぜ赤と黒だったのかはわからないのですが(笑)、結果として黒ごまラー油もスープに奥行きをプラスし、さらに味わい深くさせる一品なので大正解でした。赤と黒で見た目もかっこいいですしね!
ゆずの香り、黒ごまの風味、そして辛味。自分で調整しながら味わうのってすごく楽しいです! 思惑通り、視覚的なアクセントにもなっているのではないでしょうか? 一杯で鶏のうま味も魚介の風味も味の変化も見た目も楽しめるなんて、ぜいたくなラーメンですね。
薬味の柚子こしょうと黒ごまラー油の写真

薬味は柚子こしょうと黒ごまラー油。味の変化だけでなく、彩りも楽しめます

長州黒かしわの写真

長門で誕生した「長州黒かしわ」。「やまぐちブランド」として登録されています

チームNGTの活動と「ながとりめん」のおいしさに共感したお店が「うちでも出したい」と名乗りを上げ、現在、長門市内の3店舗で味わえます。「ながとりめん」の絶対条件である長門産の素材を使うというルールと、私たちが考えたレシピを継承し、お客様に味を届けてくれています。スープに長門で育てた山口県初の地鶏「長州黒かしわ」のガラを使うなど、店舗ごとのアレンジもあり、味のバリエーションを楽しむこともできます。「長門のご当地メニューといえば『ながとりめん』!」と言われるくらい、皆さんにとって当たり前の存在になってほしいですね。
素人の皆さんがこんなにおいしいラーメンを作ってしまうなんて、長門愛に脱帽です! 「ながとりめん」が長門の皆さんにとってのソウルフードになる日もきっと近いはず。私もまた食べに来ます!

【取材を終えて…】

今回、お話を聞く中で、この一杯に「長門を盛り上げたい。長門の美味をもっと多くの人に知ってもらいたい」という熱い想いが込められていることが分かりました。誕生までの道のりを知った後に飲むスープはより一段とおいしく、心にしみる味わいでした。そして、チームNGTの女性メンバーたちが考案した長門、鶏、麺の全てを盛り込んだ「ながとりめん」というネーミングにもあっぱれ! この名前が県内に、全国に轟くことを願います。
さて、お話を伺った西原さんは、チームNGTの結成前、長州ながと和牛のブランド名を知ってもらうため、ビーフカレーを作ってイベントで販売した経験もあるそうです。そのビーフカレーも今では「ながとりめん」と並ぶチームNGTの看板メニューの一つになっています。イベントなどで出会った際にはぜひご賞味あれ!