トップページ > 2021年3月26日 食レポ!! やまぐち
食レポ!! やまぐち

萩市編 カフェ・レストラン 萩暦

山口県の各地域の新しい食、気になる食をレポート!! 第10回は萩市編です。今回紹介するのは、萩の観光起点「萩・明倫学舎」にある「カフェ・レストラン 萩暦」。地元料理人の方々が、おのおのの感性で愛する萩を料理で表現した「はぎ御膳・はぎ弁当」を提供している飲食店の一つ。特に女性ファンが多く、日によって行列ができるほど人気のお店です。日本海に面する萩は、おいしい食材の宝庫!! どんな料理をいただけるのか、とっても楽しみ。それでは行ってきます!!
取材をするきらりんのイラスト
萩・明倫学舎外観の写真

歴史ある旧明倫小学校校舎を活用した「萩・明倫学舎」 

木造校舎内のカフェ・レストラン外観の写真

懐かしい木造校舎。カフェ・レストランは本館1階に

木造校舎って、イイですね!! なんだか懐かしく、とてもあったかい気分になります。
ありがとうございます。旧校舎の中にある当店も、かつての趣を大事にしているんです。
校舎の空間を生かしたレストラン内の様子の写真

レストラン内も校舎の空間を生かしています

春の木漏れ日が差すレストランの窓辺の写真

窓からは、春の木漏れ日。ヒヨドリが鳴く声も…

確かに趣があります!! 市内9軒の飲食店で提供されている「はぎ御膳・はぎ弁当」は、どういうものなんですか?
「萩らしさを表現する料理を提供すること」「桐(きり)箱・弁当箱のマス内にこだわらず枠内におさめること」「萩だからこその季節感等を説明できる食材を使用すること」「お客様へのおもてなしとしてお品書きを用意すること」。その四つが、はぎ御膳とはぎ弁当の条件になっています。
その四つの条件のもと、それぞれのお店で異なるものを提供しているわけですね。こちらでは、特にどんなことを心掛けていますか?
店名が「萩暦」となっているように、暦、つまり季節を感じていただけるプレミアムなはぎ御膳を心掛けています。今の季節であれば、箱を開けると“春”を感じていただけるようなものを。具体的な内容は日によって異なります。
はぎ御膳のふたを取った様子の写真

四角い箱のふたを開けると…

はぎ御膳の写真

うわぁ、春!! ぱっと華やぎました。お見事!! 器は萩焼です

萩といえばおいしい魚のイメージがあります。ブランド魚もたくさんありますよね。はぎ御膳にも萩の魚を使っているんですか?
はい。刺身はいつも3種。はぎ御膳全体で、魚は毎回4種類から5種類使います。魚は萩の漁港・越ケ浜へ行って、見て、漁師さんから直接買っています。
今日のはぎ御膳は、どんな魚が登場する、どんな内容ですか?
鮮やかな桜色のマグロの刺身を箸で持ち上げる様子の写真

鮮やかな桜色!! マグロ、口の中でとろけました!!!

クロウニの写真

春のウニはクロウニ。うーん、濃厚な味!!

まず「萩沖天然魚の刺身三点盛り」。今日の刺身はマグロ・マダイ・金太郎(ヒメジ)です。そして「甘鯛の塩焼き」「長州鶏の梅から揚げ」「フグの茶碗蒸し」「金太郎の南蛮漬け」「長萩(ちょうしゅう)和牛のしゃぶしゃぶ」「蓮根(れんこん)の桜饅頭(まんじゅう)」の以上9品。お吸い物とご飯を付けてお出ししています。
金太郎というと、県内でも瀬戸内海側に住んでいる私には、なじみがない魚ですが、萩ではおなじみの赤い小魚だそうですね。
はい。萩では定番の魚です。骨の多い小さな魚なんですが、その小骨を一本一本抜いて、飾り包丁を入れ、あぶり、刺身にしました。
うわーっ、手間がかかっているんですね(拍手)。楽しみです。フグの茶碗蒸しはマフグですか? 今、フグがおいしい季節ですね。
金太郎の刺身とマフグの湯引きの写真

金太郎の刺身とマフグの湯引き!! 感激のおいしさでした

新ワカメが入ったフグの茶碗蒸しの写真

新ワカメが入っていたフグの茶碗蒸し。これもおいしかった!!

はい。茶碗蒸しには、今日は他にシロウオやワカメも入っています。ワカメは今、新ワカメの季節。海士(あま)をしている私の友人が今朝届けてくれたんですよ。
うわあ、その一言で、春の海が見えました! 長州鶏の梅から揚げや、蓮根の桜饅頭も楽しみです。
長州鶏の梅から揚げは、長州鶏を練り梅であえ、から揚げにしたものです。蓮根の桜饅頭は、萩産のレンコンをすりつぶして桜色の道明寺粉(どうみょうじこ)(※1)と合わせて団子にし、桜の葉で包んで揚げ、あんをかけたものです。
桜の塩漬けが載った蓮根の桜饅頭の写真

桜の塩漬けが載った、何とも愛らしい蓮根の桜饅頭!!

ちりめんさんしょうが載ったご飯の写真

ちりめんさんしょうが載ったご飯は、萩産コシヒカリ

お話を聞いているだけで、ワクワクしてきました。デザートではないけれど、蓮根の桜饅頭を最後にいただくことにします!! あーっ、早く食べたいっ(笑)。
店長の写真

アジ、イサキ、ケンサキイカがおいしい4月にもぜひどうぞ!

萩・明倫学舎の復元教室の部屋の写真

萩・明倫学舎には、復元教室の部屋もあります

【取材を終えて…】

萩沖天然魚の脂が乗ったマグロも、マダイも、濃厚でとろけるクロウニもおいしかったぁ!! 何より感激したのは、金太郎の刺身。見た目も美しく、この独特のおいしさをどう表現しよう…とモグモグしているうちに、ハッ…と気付けば口から消えていて、ホントにすみませんっ!! 茶碗蒸しの中に新ワカメというのも楽しかったです!! コリコリとした新ワカメの茎のおいしさは春ならでは。また、茶碗蒸しの中には、なんとタピオカも。いやあ、発想が面白い!! そして長萩和牛のしゃぶしゃぶ。長萩和牛は萩市紫福(しぶき)長沢台の牧場で生産され、市内の食肉加工の会社が販売している黒毛和牛で、萩のブランド牛。山口県で開催された日露首脳会談のディナーでも用いられたほど、近年高級食材として大人気の食材。はぎ御膳では9品の中の一つなので、たっぷりの量はないものの、ごまだれの風味の中でも、お肉のうま味はしっかり味わえました。長州鶏の梅から揚げは、ジューシーでふんわり。最後にとっておいた蓮根の桜饅頭も、本当においしかった!! 優しい口当たりと、ほんのり塩気の利いた優しい味。桜餅のあんならぬ、中からコロっと出てきたのは小さな赤いエビのむき身。色とりどりの春の味をたっぷり楽しませてくれた、はぎ御膳。堪能しました!! はぎ御膳・はぎ弁当を提供しているのは市内9店。これはいい味巡りを楽しめそうです!!
ところで萩・明倫学舎には、観光インフォメーションセンターや、萩藩校明倫館についての展示室、ジオパークビジターセンター、幕末ミュージアム、世界遺産ビジターセンターなどもあります。ゴールデンウイークには普段非公開の中庭が開放され、お茶席を設ける予定だそうです。ぜひどうぞ! 最後に一つ。金太郎があまりにおいしかったので、オイルルージュ(金太郎のオイル漬け)を市内で買って帰りました。これもおいしーっ! で、その味はというと…やっぱりうまく言えないっ(笑)。萩でお確かめください!!
  1. 蒸したもち米を干した道明寺乾飯(ほしいい)を粗くひいたもの。和菓子の材料などに用いる。本文※1へ戻る